ストレージベンダーのネットアップはグローバルでのシェアを15.7%とし、EMCの29.4%に次ぐ業界第2位の位置を確保した。また、国内ストレージ市場においても過去最高の26%増の売り上げを達成し、あわせてシェアも2%拡張した。引き続き、国内シェアを拡大し第3位の獲得を目指している。
ストレージ市場のマーケットシェア |
こうした成果を踏まえ、ネットアップは2011年6月3日に事業方針説明会を開催した。
同社が今後の一番の成長分野として期待をよせるのが「ビッグデータ」だ。同社代表取締役のタイ・マッコーニー氏は、ビッグデータ急増によるデータの格納・分析・抽出に関わる市場規模は年間平均35%の成長率である点に注目、ビッグデータにおける市場ニーズを、Analytics(分析)、Bandwidth(帯域)、Content(コンテナ)の3つの観点でとらえ同市場でのビジネスオポチュニティを拡大するとしている。
ビッグデータにおける市場ニーズ |
ネットアップはこうしたビッグデータに対処するため3社を買収した。ペタバイト規模の画像、映像および記録リポジトリを管理するオブジェクトベースのストレージソフトウェアベンダーであるBycast社、広帯域幅を必要とするフルモーションビデオのストレージ技術を持つEngenio社、共有ITインフラ向けマネジメントツールを提供するAkorri Networks社だ。今後こうした技術を取り込んだ製品が次々と発表されるとしている。
ネットアップが買収した3社 |
同社がビジネスオポチュニティの獲得にあたり最も重視するのがパートナーシップの強化だ。マッコーニー社長、岩上純一営業統括本部長ともこの点を日本市場での成長には不可欠と見る。昨年末に新たにNECとリセーラ契約を交わすなどパートナー体制の強化も進んでいる。だが、ストレージを巡るユーザーニーズの変化は、同社ならびにパートナー企業にあらたな課題を突きつけていると岩上本部長は分析する。
岩上本部長は、ストレージに対するユーザーニーズが価格よりもむしろ運用・開発・保守面のコスト削減にシフトしている点を重視。「顧客のビジネスモデルの中味を理解した上でのさらに一歩突っ込んだ提案営業の確立をパートナー企業と共に目指していく」必要性を説いた。また併せて、これを実現すべくネットアップ自らが顧客と接し直接にユーザーの要望、考えを把握する機会としてハイタッチ営業を引き続き重視する考えを示した。