「NTTの目指す世界は、オープンで、ハードウェアとソフトウェアが分離されたネットワークインフラだ」
2023年3月24日にオンライン開催した記者説明会で、NTT 技術企画部門 統括部長の友近剛史氏はそう述べた。
現在のネットワーク機器は、その大半がハードウェアとソフトウェアを一体型で提供する垂直統合型システムである。「使いたいOSを選ぶとハードウェアもくっついてくる」(同氏)状況だが、これを分離することで、ユーザーは使いたい機能や性能、コストに応じてハードウェアとソフトウェアを選択できる自由度を得ることができる。
ハードウェア/ソフトウェア分離の効果
サーバーやストレージではこのハード/ソフト分離とオープン化が十分に進んでいるが、ネットワークの領域は遅れている。近年はデータセンターネットワークを中心として徐々にオープン化が進んでいるものの、NTTはキャリアネットワークも含めてこれを加速したい考えだ。
その具体策として、NTTは独自開発したネットワークOS「Beluganos(ベルガノス)」の販売を開始する。ルーター/スイッチ機能を備えたOSであり、ネットワークOSを搭載せずにハードウェアのみで販売される“ホワイトボックス装置”にインストールして使用することが可能だ。
Beluganosは2023年3月31日から販売を開始。あわせて、NTTコミュニケーションズの商用ネットワークにおいて、Beluganosを搭載したホワイトボックス装置の運用も開始する。同社のリモートアクセスサービス「Flexible Remote Access」等の基盤ネットワークに導入するという。
ハード/ソフト分離のメリットとは
オープン化によって、NTTをはじめとする通信事業者やデータセンター事業者等は様々なメリットが得られる。
ハードウェアとソフトウェアが密に結合している垂直統合型の場合、ユーザーはその製品を提供するベンダーへの依存度が高くなるため、製品選択の自由度が制限されるうえ、「軽微な修正や機能開発に時間とコストを要する」(友近氏)。これが、オープン化を推進する最大の理由だ。
NTT 技術企画部門 統括部長の友近剛史氏
ハードウェアとソフトウェアが分離すると、ユーザーは「高性能なものや安価なものなど、ハードウェアを自由に選択できる」(同氏)。加えて、「オープンなインターフェースを使って運用システムや運用方法を共通化できる」ことも大きなメリットだ。これにより、「柔軟さを備えたネットワークを作っていきたい」と友近氏は展望した。