NTT東日本は2023年2月20日、秋田県大仙市、潟上市、鹿角市、美郷町の各地域において、ローカル5Gを活用した産地活性化モデルの実現を目的とした実証事業を行うと発表した。
実証イメージ図
2022年8月の総務省令和4年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」への採択を受けてのもので、企業・団体16社にて「実証コンソーシアム」を構成する。
高齢化・人口減少社会を迎えて脆弱化が懸念される国内食料生産基盤の強靱化を図るため、スマート農業技術の生産現場実証により超省力化技術の社会実装を実現し、生産性・利益の向上を図る必要がある。しかし、最先端スマート農業技術導入による生産コストの増加に伴い、経営体の利益は必ずしも改善しておらず、社会実装加速の妨げとなっている。スマート農業の社会実装加速に向けては、産地単位での作業集約やシェアリングモデルの実証を通じて生産コストの低減を実現することが求められている。
このような状況のなか、本実証では、生産から販売に至るフードチェーンの各段階でローカル5Gの高速伝送を活用し、高精細動画やリアルメタバース技術などによる産地活性化モデルの実現を通じた生産コストの低減を目指すという。
技術実証では、ビニールハウス2 拠点と道の駅1拠点をフィールドとして各拠点にローカル5Gの基地局を1基ずつ設置。ルーラルエリアに位置するビニールハウスと道の駅それぞれにローカル5Gシステムを整備し、電波伝搬特性を測定することで、エリア構築に関する技術の確立およびエリア構築の柔軟性向上を目指す。なお、ローカル5Gの環境構築は、NTT東のマネージド型ローカル5Gサービス「ギガらく5G」を利用する。
現場模様(左から) 360度カメラ(ハウス内)と建柱(L5Gアンテナ)
課題実証では、生産から販売に至るまでの各過程でローカル5Gを活用し、超省力化を目指した以下の取り組みを行う。
・リアルメタバース技術とAI画像認識を活用した遠隔指導・収穫敵期判定
・イチゴ収穫・運搬ロボットの遠隔制御
・リアルメタバース技術を活用した遠隔ショッピングシェアリングや作業集約など普及性を考えたデータ駆動型農業を実現することで、持続可能な農業経営・所得向上を目指し、産地活性化モデルを実証したいという。
実証期間は1月4日~3月末日。実証事業終了後は、構築したローカル5Gシステムを活用し、農林水産省「スマート農業実証プロジェクト」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)と連携し、課題実証作業に取り組んでいくとしている。