ドコモ、バーチャル空間で1万人の同時接続を可能にする技術を開発

NTTドコモは2月1日、バーチャル空間において超多人数接続、価値観理解、行動変容が可能になる技術を開発したと発表した。ドコモの新規事業共創プログラムのパートナーであるRelicが、この技術を用いたサービス「MetaMe(メタミー)」のβ版を2月中に提供することも併せて明らかにした。

バーチャル空間には、クラウドレンダリング環境の制約から、1つの空間に同時接続できる規模が数十名程度に限定されるという課題がある。加えて、他者との会話のきっかけが掴めない、会話が長く続かないなどという課題も存在する。

この技術は、準備した1つの空間に不特定多数のユーザーを大量に収容する構造を実現するもの。サーバーを介して音声や映像をやりとりする技術の一種であるSFU(Selective Forwarding Unit)を配備することにより、クラウドとユーザーの通信トラフィックを最適化する。また、新たに開発したクラウドレンダリング技術によって、従来環境と比較し、映像処理装置運用コストを96%以上低減。これらにより、最大1万人の超多人数接続を可能にしたという。

超多人数接続技術の特徴

超多人数接続技術の特徴

価値観理解技術も搭載する。リアルとバーチャルの空間でシームレスに取得した空間移動履歴などのデータを解析し、利用者の感情を理解するという。この技術により、利用者が本人の動機とは無関係な内容のレコメンドを受ける問題の解決を狙う。

さらに、この価値観理解技術が解析した情報を基に、精度の高い他利用者とのマッチングやイベントのレコメンドを提供する行動変容技術も開発した。同技術により、コミュニケーションの促進や、コミュニティ間の往来(相互送客)を実現し、Web3時代の価値交換、経済圏を拡大するという。

こうした技術を用いて自分らしさを表現したり、目的や価値観に応じて他者と繋がることが可能になるコミュニケーションを「メタコミュニケーション」とドコモらは呼んでいる。これを体験できるコミュニケーションサービスが「MetaMe」であり、利用者の価値観を反映した利用者専用の空間(Identity World)と、コミュニケーションの空間(Community World)から構成されるという。後者には宝島ワンダーネット、琴平町、琴平バス、瀬戸内アートコレクティブが初期パートナーとして参画し、教育、観光サービスを提供する。

なお、「MetaMe」にはNTTがIOWN構想に基づいて開発した感性コミュニケーション技術や、デジタルツイン上に分身を作るAnother Me技術が試験的に実装されている。Another Meはプロトタイプとして「ペット型Another Me」が「MetaMe」上でデモ展示される(参考記事:IOWNは2022年実装開始 オール光網の骨格作りがスタート)。

この技術および「MetaMe」は、ドコモが2023年2月2日から2月28日までオンライン開催する「docomo Open Houseʼ23」で紹介される。

また、超多人数接続機能を活用し、「MetaMe」上で1万人が同時に接続するイベントが3月に開催される予定だ。

 

 

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