SAPを知らないIT業界人はいないだろうが、そのビジョンまで知っている人は少ないかもしれない。
「世界をより良くし人々の生活を向上させる」──。これが、SAPが現在グローバルで掲げているビジョンだ。
SAPジャパン 常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサーの大我猛氏は、このビジョンを3ステップで実現していくと説明する。
(左から)PSI サイバーセキュリティ研究所 所長 福井正輝氏、SAPジャパン 常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー 大我猛氏
第1ステップは「インテリジェント」である。「モノの流れやお金の流れなど、企業の中で切れていたビジネスプロセスをつなぎ、個々の会社をインテリジェントにしていく。ERP(基幹システム)を提供しているSAPが元々やってきた、最も強いところだ」
IoT化のトレンドが始まって以降は、工場や店舗といった現場の動きをリアルタイムにERP等へ反映するため、SAPはIoTにも注力してきた。
第2ステップは「ビジネスネットワーク」である。「今度は、個々の会社の中だけでなく、企業間をつないでいく。それを我々はビジネスネットワークと言っている」
世界はどんどんコネクテッドになっているが、大我氏は「2つのコネクテッドがある」と話す。1つは第1ステップである企業内という垂直方向のコネクテッド、もう1つは第2ステップである企業間という水平方向のコネクテッドである。
そして、この2つのコネクテッドが揃った先にあるのが、第3ステップである「サステナビリティ」。バリューチェーン全体が最適化されることで、「サステナビリティが担保された社会を作れるだろう」と考えているという。
こうしたビジョンの下、SAPは単に製品を提供するだけでなく、社会起業家の育成支援などにも取り組んでいるが、その具体的活動の1つが、ピーエスアイ(PSI)と協力して行う「みなのデジタルエコ農園」のサポートである。
みなのデジタルエコ農園は、都会の人が遠隔から農作業に参加できる「リモートファーミング」を2023年3月にスタートさせる計画だ。