「これなら使える」を後押し
この取り組みは、総務省が昨年公募した「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」の1つに採択されたものだ。ICTの利活用により地域課題の解決と雇用創造を図るのが目的である。
北区は、東京23区中で最も高齢化率が高い。総人口約32万のうち、65歳以上が約8万人、さらにそのうち約2万3000人が一人暮しという。独居老人の支援は我が国全体の課題。王子二丁目町会における“実験”の意義は小さくない。
「きづな」プロジェクトはモバイル端末のUIの進化を着想の起点としているが、もちろんそれだけで問題が解決するものではない。「こうしたツールとは疎遠だった高齢者とその支援者を結びつけるための仕組みが重要になる」(泉氏)。
それを示したのが下の図表だ。高齢者宅を訪問してその生活を支援する「サポーター」が、複数の高齢者とGALAXY Tabでメッセージのやり取りを行う。だが、サポーターは主婦などが中心であり、医療やITの知識が高い人ばかりではない。これらの専門知識を有するバックアッパーが必要だ。
図表 総務省認定 おひとりさま支援プロジェクト“きづな” |
そこで、このサポーターをICT技術と医療の両面でさらに支援する人たちを置いたのが1つ目のキーポイントだ。GALAXY Tabやアプリの使い方を高齢者に教えるサポーターをICT技術者が支援。さらに健康管理等の面を医療・福祉関係者が支える。なお、今回のプロジェクトは、携帯販売代理店のティーガイアから導入した116台と、NTTドコモからの貸与分20台の合計136台のGALAXY Tabで運用しており、関わる全員がこの端末を用いている。