「サーバーOSの進化と比較して、ネットワークOSのオープン化は20年遅れている」
ネットワーク機器を構成するハードウェアとOSを分離し、自由な製品選択と組み合わせを可能にするオープンネットワーキング。2014年以降、これをネットワーク事業の柱としてきたデル・テクノロジーズが2023年1月20日に記者説明会を開き、オープン化のさらなる進展を目指す新戦略を打ち出した。
デル・テクノロジーズ ネットワーク事業部 技術部長の佐々木亮氏は冒頭のように延べたうえで、オープンネットワーキングの利点と、日本国内へ浸透させるための施策について説明した。
デル・テクノロジーズ ネットワーク事業部 技術部長の佐々木亮氏(左)と、
デル・テクノロジーズ ネットワーク事業部 APJ CoC ネットワーキング マーケティングマネージャーの岩辺憲昭氏
新戦略のポイントは次の2つだ。
1つは、ハードウェアラインナップの拡充である。搭載するネットワークOSを自由に選択できる、ホワイトボックススイッチの新製品2モデルを発売する。
オープンソースOSの「SONiC」に対応する2製品をリリース
オープン化が先行するデータセンター向けに大容量モデルを追加するとともに、スマートファクトリーや小売店舗等の“ビジネス現場”向けの新製品をリリースする。「現在は主にデータセンター事業者、通信キャリアで採用されているこの技術をエッジの領域を含めてネットワーク全体へ広げていきたい」と佐々木氏は狙いを述べた。
データセンターからエッジまでオープン化
データセンター向けの新製品は、最大スイッチング容量が51.2Tbosの「Dell PowerSwitch Z9664F-ON」だ。
前モデルに比べて伝送容量を2倍にしたほか、ポート数も倍増。AI・機械学習技術を活用したサービスの開発・提供やグラフィックス処理の増加等によって、伝送容量と拡張性に対するニーズが高まっている現状に対応する製品だ。
データセンター向け新製品「Dell PowerSwitch Z9664F-ON」
一方、大企業のオフィスや支店、工場や大規模店舗等のエッジネットワークでも、大容量伝送や運用負荷の削減、コスト抑制といったニーズは高まっている。デル・テクノロジーズ ネットワーク事業部 APJ CoC ネットワーキング マーケティングマネージャーの岩辺憲昭氏は、「カメラ映像による現場の可視化や分析」などを例に挙げ、「データセンターまでデータを送らずに、エッジでデータを処理して遅延を最小化する必要がある」とエッジネットワークの刷新が求められている現状を説明した。
このニーズに応える新製品が「Dell PowerSwitch E3200-ON Series」だ。
「Dell PowerSwitch E3200-ON Series」
ビジネス現場での活用を想定してPoE給電機能を搭載。伝送容量とPoE給電能力が異なる2モデルをリリースする。オープン化で先行するデータセンターネットワークでは、Ansible等の運用自動化ツールをはじめ、ネットワーク運用を省力化・高度化するアプリケーションの導入も進んでいるが、このホワイトボックススイッチを展開することで、そうした運用法をエッジにも展開できるようになる。