NTT東日本は1月19日にオンライン会見を行い、食用コオロギに関連する事業を行うグリラスと共同し、食料問題の解決に向けた「食用コオロギのスマート飼育」の確立を目指す実証実験を1月から開始すると発表した。
コオロギ飼育ケースの内部
グリラスは徳島大学発のベンチャー企業。30年に渡るコオロギ研究の実績を基礎に2019年に創業し、食用コオロギの品種改良、生産、原料加工、商品開発、販売と川上から川下まで一貫したビジネスを行っている。
国連の報告書によると、今後30年で世界人口は97億人への増加が予想され、食料問題への対応が課題になっている。特に動物性タンパク質の不足は顕著であるため、国連の食糧農業機関は昆虫食を推奨している。全世界で年間約9.3億トンにも上る食品ロスも大きな問題だ。全世界で生産されている食品の約3分の1が廃棄されていることになる。
こうした社会課題を背景に、グリラスは食用コオロギを食品ロス由来100%の独自配合飼料を用いて生産してきた。グリラスが有する食用コオロギの飼育ノウハウにNTT東日本のICT/IoTソリューションを掛け合わせることにより、最適な食用コオロギの飼育環境の構築・確立を目指すのが今回の実証実験だ。
NTTe-City Labo内の食用コオロギ養殖ブース施設
実証実験の第一歩として、NTT中央研修センタ(東京都調布市)内のNTTe-City Laboにスマート⾷⽤コオロギの飼育施設を整備する。コオロギの飼育における環境要因のデータ収集や分析を開始し、技術基盤開発を共同で進めていくという。