最近、日本でのプレゼンスも増しているセキュリティベンダー、カスペルスキーが2011年4月13日、2つの法人向け新製品を発表した。
カスペルスキーというとコンシューマ向けとのイメージを抱いている人も多いかもしれないが、同社コーポレート営業本部の嵯峨野充本部長によると、インターネットゲートウェイやメールサーバー、ファイルサーバーなど、企業ネットワークの「すべてをトータルで守らせていただいている」という。同社製品の販売は100%パートナー経由となっているが、2007年に2社だった法人向けパートナーの数は2010年には110社に拡大、2011年末には250社を目標にしているとのことだ。
カスペルスキーの法人向け製品のカバー範囲 |
今回発表した新製品はまず、サービスプロバイダー向けのSaaS型エンドポイントセキュリティ管理サーバー「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」である。これはサービスプロバイダーがSaaS型のマネージドセキュリティサービスを提供するためのプラットフォームとなるものだ。
競合他社にも同様の製品はあるが、嵯峨野氏が違いとして強調したのは、第一にサービスプロバイダー側で独自の付加価値を加えられる点である。他社はメーカーが用意したサービスを再販するだけのモデルとなっているが、カスペルスキーの場合、例えば監視サービスやレポートサービス、セキュリティポリシーの設定サービスなどを付け加え、パートナーそれぞれの特徴を生かしたサービスとして提供できるという。
Kaspersky Security Center Service Provider Editionのビジネスモデル。サービスプロバイダーが独自の特徴を付け加えられる |
また、SaaS型のため、サービスプロバイダー側で物理サーバーや仮想サーバーを用意しなくていいのも特徴とのこと。従来、多くの拠点・企業を管理するにはサーバーをいくつも持つ必要があったが、このため「サービスプロバイダーに余分なお金がかからず、エンドユーザーに安価で高品質なサービスを提供できる」(嵯峨野氏)という。
すでにHOTnet(北海道総合通信網)、ユーザサイド、CTCシステムサービスの3社がKaspersky Security Center Service Provider Editionを利用したサービス提供を予定しているという。
もう1つの新製品は法人向けのMac用セキュリティソフト「Kaspersky Endpoint Security 8 for Mac」である。コンシューマ向けとの違いは、集中管理が可能になっている点。発売日は5月16日で、初年度3万ライセンスの販売を目指す。
Mac向けの登場で、Windows、Linux、Macすべてを集中管理できるようになったという |
なお、記者会見には共同創立者でありCEOのユージン・カスペルスキー氏も登場。「今年から日本向けの投資をかなり行っていく」と語った。今年3月に日本法人を本社の100%子会社としたほか、現在の約3倍のオフィスに移転。年初に43名いた日本法人の従業員数を年末までに70名弱まで増やす予定だという。さらに、その後も増員していく計画とのことだ。
ユージン・カスペルスキーCEO |