デジタルフォトフレームで施工現場の様子を
横浜市を中心に神奈川県内を営業範囲とする工務店、小林住宅工業の場合、施工現場の様子を施主に見てもらうためのツールとして、3G通信機能付きデジタルフォトフレームを活用している。
小林住宅工業では、紀州産の天然無垢素材と昔ながらの匠の技による大工仕事を基礎に、最新の住宅設備も取り入れる「自然流(じねんりゅう)」を提唱・実践している。住宅の完成後には見えなくなってしまう部分も手を抜かずに作っていることを知ってもらうため、できるだけ施主に家作りの様子を見てもらうようにしているが、現住所が遠いなど施主が頻繁に現場を訪れるのが難しい場合の対応に悩んでいた。
そこでソフトバンクモバイルのフォトビジョンの導入を検討したそうだが、一度は採用を見送っている。現場で写真を撮った大工が直接、施主宅に設置したフォトビジョンに携帯メールで画像を送信するかたちでは、写真の撮り方によっては施主の誤解を招く可能性があるなどの問題が懸念されたためだ。しかし、この課題は、その後に登場した法人フォト管理サービスで解決したという。現場で撮影した写真をいったん事務所に送り、そこで適切な写真を選別したうえで施主宅のフォトビジョンに転送するという運用方法がとれるようになったからだ。
小林住宅工業は現在、「コバジュウ・フォトドラマ」という名称で施主向けにこのサービスを提供している。フォトビジョンは誤操作を防ぐため一部機能をロックした状態で施主にレンタルしているそうだ。小林住宅工業では今後、基本的にすべての施主にコバジュウ・フォトドラマを提供し、顧客満足度を向上させていく方針だという。
小林住宅工業の営業所に置かれた3G通信機能付きデジタルフォトフレーム。これまで手掛けてきた家の写真をお客に見せて「コバジュウ・フォトドラマ」のサービスを知ってもらうためにも利用している |
社内の業務連絡にも有効
ソフトバンクモバイルの小河氏によると、3G通信機能付きデジタルフォトフレームの導入例として多いのは、やはりイスクラ産業のような電子POPとしての利用だという。スーパーや生活雑貨店、金融機関、ホームセンター、アパレル、自動車販売など、さまざまな店舗で導入されているそうだ。また、小林住宅工業の事例に近いタイプとしては、会員や得意顧客、介護施設向けに3G通信機能付きデジタルフォトフレームを配布し、情報サービスを提供することを検討している企業があるという。
どちらのタイプを見ても、顧客接点の強化策として、3G通信機能付きデジタルフォトフレームは企業から注目を集めていることが分かる。
また、小河氏は「社内での業務連絡用としても有効」と語る。本社から支店・店舗へFAXを送信、掲示板に張り出すことで業務連絡を行っている企業は多いと思うが、こうしたアナログの掲示板の問題点は、古い業務連絡がいつまでも残り、今、本当に伝えたい業務連絡の周知徹底が図れないケースがあることだ。一方、3G通信機能付きデジタルフォトフレームなら、「本社側で古い情報を削除し、常に新しい情報だけを表示させることができる」。
このほかにもアイデア次第で、3G通信機能付きデジタルフォトフレームの活用シーンはさらに広がっていくだろう。