NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO森田隆之氏は2025年度までの中期経営計画およびその中核となるコア DX事業について、3つの方針を示した。
NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 森田隆之氏(左)、同 執行役員常務 吉崎敏文氏
1つはコンサルタントとデータサイエンティストによるユーザーの経営改革の取り組みだ。「グループ企業のアビーム・コンサルティングを含めて5000人超のコンサルタントと1000人超のデータサイエンティストがおり、上流から経営改革の提案をしていく」と森田氏は説明した。
2つめは同社の技術基盤である「NEC Digital Platform(以下、NDP)」の強化とDX人材拡充だ。NDPはNECのIT とネットワークのアセットを共通のプラットフォームに集約・拡張したものだ。外部企業とのアライアンスを進めると共に、それらを自社最適化したソリューションを順次展開していくという。
NEC Digital Platformの概要
例えばセキュリティ分野においては、パロアルトネットワークス、ゼットスケーラー、トレンドマイクロ、タニウム、コントラストといった企業とパートナー契約を結んでおり、NECのセキュリティ人材とあわせて多層防御をユーザー企業に展開していくという。
セキュリティ対策では、端末などのエンドポイントやメール、ネットワーク、サーバー、クラウドなど様々な領域を保護する必要があり、1か所でも穴があれば、そこから侵入されてデータの窃取を許してしまう。そのため単一対策での防御ではなく、複数の対策を多層的に配置して全体を可視化・分析して対策を講じる取り組みが必要だが、そのうえではデータサイエンティストのような人材も欠かせない。
そこでNECでは、各セキュリティベンダーと連携してセキュリティ対策に必要なデータを収集できる仕組みを強化していくとともに、そのデータを分析してリスク状況を見える化するための高度専門人材によるサービスも併せて提供していく。
セキュリティ事業の強化イメージ
またNECグループは、社内人材のリスキリングによるDX戦略コンサルタントの増強を掲げており、2023年度までに500名に増加させるとしている。「コンサルタント事業へ注力する前は、『NECにコンサルが必要なのか?』、『外注したほうが良いんじゃないか』などの声もあったが、今は自社内にコンサルタントがいる形がベストだと確信している。ユーザーの課題を本質的に解決するためには絶対に上流工程のチームが必要だからだ」と吉崎氏。
今後はコンサルタント、データサイエンティスト、サイバーセキュリティエンジニアなど同社が「DX人材」と定義する人材へのシフトを進めていくとしており、現在の5874名から、2025年までに1万名への拡大を目指している。
社内人材のシフト計画
3つめはグローバルパートナーシップと戦略的ビジネスの拡大だ。クラウド領域で、AWSやマイクロソフト、オラクル、レッドハットといったパートナーとの共創強化をすすめていく。
NECが9月29日に発表したレッドハットとの協業もこの取り組みの一環だという。これはNECのソリューションをユーザーが安心して利用できることを目的として、コンテナ技術やレッドハットの製品に精通したアーキテクトを中心に、グローバルで共同CoE(Center of Excellence)を構築するものだ。
「COEには法務、人事、財務などの専門人材も加わり、協業していく。今後、アプリケーションのオープン化が進み、パブリックやプライベートを問わずクラウドには多数のアプリケーションが加わっていく。そららを安心して運用管理できる仕組みを作っていきたい」(吉崎氏)という。