「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」の
第10回会合で主張を述べる楽天モバイル 代表取締役社長の矢澤俊介氏
「フェアな競争が現在できているとは、1ミリも思っていない。3事業者から5MHzずつ再割当していただきたい」
楽天モバイル 代表取締役社長の矢澤俊介氏は、総務省で8月30日に開催された「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」の第10回会合で、苛立ちを隠さず、こう強く主張した。
矢澤氏が不満を露わにした背景には、これまで非公開で実施されてきた同タスクフォースの9回にわたる会合での議論がある。同氏は過去のタスクフォースでの既存3社の説明について、「合理的とは思えない」「時間稼ぎとしか思えない」と指摘。「スピーディで合理的な議論をお願いしたい」と語った。
楽天モバイルが再割当を要望した帯域
2020年11月にスタートし、昨年8月に報告書をまとめた総務省の「デジタル変革時代の政策懇談会」。同懇談会で打ち出された目玉の1つが、携帯電話等の周波数の再割当だった。なかでも注目は、携帯電話のエリア構築に有利なプラチナバンド(700~900MHz帯)の再割当である。先の通常国会で関連法案も成立し、10月1日に施行されることが決定している。
これに先立ち、同タスクフォースは今年2月から各周波数に共通する課題等について非公開で議論を重ねてきたが、社会的影響度の大きいプラチナバンドの再割当に関する議論に入るにあたり、今回初めて公開で会合が開かれ、楽天モバイル、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクがそれぞれの意見を述べた。
楽天モバイルの要望は、(1)既存3社から5MHz×2ずつの割譲、(2)利用開始は1年以内、(3)移行費用は負担しない、の大きく3つにまとめられる。
(1)については当初の既存1社から15MHz×2の割譲という要求から、既存3社に対して一律に5MHz×2ずつ求める形に変更した。「健全な競争環境が必要」「このほうが既存3社にとってもいい」ことなどを矢澤氏は理由として挙げた。
ただし、費用の高騰や議論の長期化が起こったときは、「1社あるいは2社にターゲットをロック」することも検討していると補足。また、その場合、15MHz×2ではなく、20MHz×2を要望するという。
楽天モバイルにとっては、細切れではなく、まとまった帯域を獲得したほうが有利だが、既存事業者により受け入れられ易い案を示した格好だ。