企業ネットワーク最前線

<特集>ワイヤレスIoT最新動向

Amazon Sidewalkの狙い アマゾン独自の無線通信

文◎坪田弘樹(編集部) 2021.03.05

  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

2019年秋にアマゾンが発表した無線通信プロトコル「Amazon Sidewalk」(以下、Sidewalk)。2020年9月に詳細が発表され、2020年末には米国で一部ユーザーを対象に提供が始まった。日本国内での正式なアナウンスはまだないが、現時点で判明している情報を基にアマゾン独自規格の特徴と狙いを整理しよう。

 
同社のホワイトペーパーによれば、Sidewalkは900MHz帯やBluetooth Low Energy(BLE、2.4GHz帯を使用)を用いて通信する。900MHz帯については、LoRaおよびその他の周波数偏移変調(FSK)を使うとしている。目的は、Amazon Echoをはじめとするスマートデバイスを用いる際にWi-Fiを補完し、その圏外でも携帯電話ネットワークを使わずに接続できるようにすることだ。

通信速度や通信距離などの詳細なスペックは述べられていないが、“Wi-Fi圏外の接続性”を目的とし、後述するように帯域幅を制限していること、用途としてEchoデバイスの設定やアップデートが挙げられていることなどから、BluetoothやLPWAに似た使い方を想定しているものと思われる。

コミュニティで帯域を共有通信の仕組みもLoRaに似ている。

Sidewalk対応デバイスがアプリケーションサーバーと通信する際には、下図表のようにNetwork Serverを経由する。家庭に置かれるEchoや防犯カメラが無線通信の中継機「Sidewalk Bridge」(図中ではSidewalk Gateway)として機能し、家の外も含めた広範囲な接続を実現する。アマゾンは、Echoのほか米Ringの家庭用防犯カメラ「FloodlightCam」「Spotlight Cam」もSidewalk Bridgeとして使えるとしている。

 

図表 Amazon Sidewalkの通信のイメージ

図表 Amazon Sidewalkの通信のイメージ
出典:Amazon Sidewalk Privacy and Security Whitepaper


Wi-Fiを補完する具体的な利用イメージとしては、何らかの理由でWi-Fiがダウンしたときでも防犯カメラから動作検知によるアラートを受信し続けることができる、Wi-Fiが届かない私道のスマートライトに接続するといった使い方を挙げている。また、BLEを使って鍵や財布等につけたタグの在り処を特定する探し物トラッカー「Tile」とも提携。近所に置き忘れた鍵や財布を見つけるといった使い方もできる。

将来的には、Sidewalk対応の照明・セキュリティ製品、家電の状態を確認し、不具合を解消するリモート診断に用いる計画もあるようだ。

また、アマゾンが示したSidewalkのビジョンには、「隣人との帯域幅の共有」も述べられている。ユーザーは、コミュニティで共有するSidewalkネットワークに参加することで、自宅から離れた場所にあるSidewalk対応デバイスにもアクセスできるようになる。“歩道”の名の通り、家庭内に留まらず、道端にあるSidewalk BridgeやIoTデバイスを活用して多様なスマートシティソリューションを展開するのがアマゾンの狙いと言えるだろう。

こうした共有を可能にするため、Sidewalkには厳格なセキュリティと、帯域幅制限の仕組みも実装されている。Network ServerがデバイスIDを使った認証を行い、やり取りされるパケットは3レイヤーで暗号化してプライバシーを保護。また、特定ユーザーのSidewalk通信が他者に大きな影響を及ぼさないよう、Sidewalkデバイスから収集するデータ量と使用帯域幅には上限が設けられている。Network Serverが通信状態をモニタリングし、上限を超えないよう制御する。

もちろん、Echoのユーザーは、Sidewalkネットワークへの参加(Sidewalk Bridgeの機能)をオフにすることも可能だ。

アマゾンは赤十字社と協力し、Sidewalkを使って血液採取・供給の追跡を行うPoCも行っている。そうした産業界での使用例が増えれば、一気に普及が進む可能性も十分にある。
  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

スペシャルトピックスPR

nvidia2108
microfocus2108
cisco2109

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】次世代Wi-Fi特別講義
<11be>「Wi-Fi 7(仮称)」は意欲的 <11ay>100Gbpsの60GHz帯無線
<11az>誤差1m以内で位置推定 <11bf>侵入者も転倒も無線で検知
<11ba>新発想で超低消費電力 <Wi-Fi 6E>“最後のフロンティア”で飛躍
<Wi-Fi QoS Management>リアルタイム通信を優先制御

インタビュー東京工業大学 阪口啓教授 「ミリ波5Gの課題に効果歴然 超スマート社会は「事業」段階」【ソリューション特集】ゼロトラストの正しいつくり方/コロナが迫った「電話のDX」 ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ中堅中小にちょうどいいゼロトラスト

中堅中小企業にも現実的なゼロトラスト移行ソリューションをチェック・ポイントが提供する。

プロディライト電話環境のDXを実現する!
岩崎通信機のオンプレPBXとも連携

出社せずに会社宛ての電話を受けられるクラウドPBX「INNOVERA」

CyCraft AIRなぜ、AI主導型EDRなら短期解決?
インシデント対応の4つのポイント

ごく普通の企業でも、AI主導型EDRがあれば、高速に自動化可能だ。

エイチ・シー・ネットワークス月1200円から目指すゼロトラスト
ソフトSIM+SWGで全通信を制御

導入の複雑さやコスト面から足踏みしている企業の悩みを解決

IIJグローバルソリューションズDXの鍵はXDRと戦略立案にあり!

デジタル・ガバナンスの整備~アドバイザリーまでを、IIJグローバルソリューションズが支援!

シスコシステムズ通信事業者のデータセンター運用を「直感的」に!

解決策までリアルタイム提示するCisco Nexus Dashboard

ネッツワイヤレスIoT回線の最適解「ネッツワイヤレス」 多要素認証でテレワークも

「現場改革」のための法人向けモバイル回線サービス!

Keysight World 2021ドコモが語るオープンRAN普及戦略
キーサイトが10/12からイベント

6Gに向けた最新技術トレンドがテーマ!(事前登録制、参加費無料)

Splunk Services JapanSplunkで真のゼロトラスト SIEMとSOARをストーリー仕立てで

ゼロトラストの実現に必要な統合管理/分析プラットフォームを提供!

Fortinetゼロトラストで変わる常識
VPNの課題を解決するZTNAとは?

ゼロトラスト原則に基づいたリモートアクセス「ZTNA」を徹底解説!

インテル多彩なXPU製品・ソリューションで
5Gの仮想化を支えるインテル

CPUに加え、FPGA、GPU、eASICなどで5G RANの仮想化に対応!

シスコシステムズネットワーク自動化の4つの原則とは?

オートメーションを通して「人に優しい」通信インフラを実現するシスコの構想

「ところざわサクラタウン」に100Gの広帯域LANを低コストに構築KADOKAWAは大規模複合施設の
100G化をどう実現したのか

「ところざわサクラタウン」に100Gの広帯域LANを低コストに構築

TP-LinkWi-Fi 6や10Gを低価格で導入
無料SDNでネットワークの管理も

中堅中小企業のDXに必要なコストパフォーマンスを実現!

マイクロフォーカス通信キャリアの運用自動化、その鍵を握るオーケストレーションとは?

思うように成果が出ない…。ならば、プロセス全体に踏み込むべきだ

エヌビディアMWC 2021で語られた
「AI-on-5G」がもたらす価値

5GにAIを組み合わせ、高度なAIエッジ処理をシンプルに実現!

アレイ・ネットワークスIoTネットワークまで標的が拡大
ランサムDDoS攻撃の対策方法

アレイ・ネットワークスのASFシリーズで自力防衛を!

VIAVIソリューションズ5GをRANからコアまで徹底検査
オールインワンのローカル5G測定器も

E2Eのテストソリューションを提供するVIAVIソリューションズ

ウインドリバーなぜ、5G vRANにウインドリバーを採用したのか?

ベライゾンとボーダフォンが選んだ「Wind River Studio」

アイティフォーAI型EDRが侵入“後”の対応を
高速・低コストに

数週間かかる「フォレンジック」が最短3時間!

東陽テクニカあらゆる400ギガネットワーク環境をテスト

BGPの負荷試験等幅広いプロトコルテストに対応!

ネットスカウトシステムズネットスカウトシステムズが指南!
DDoS攻撃の効果的な防御方法とは

世界的に急増するDDoS攻撃。被害を最小限に食い止める方法を解説する

インテル「5G・6Gでキャリアとともにイノベーションを起こす」インテル堀田氏

ワイヤレスジャパン2021での基調講演を徹底レポート!

NVIDIA AI DAYSエヌビディア・ドコモ・富士通が
見据える「5G RANの将来」

AI時代に起こる5G RANの進化についてキーパーソンたちが語った。

NVIDIA AI DAYSソフトバンク、ドコモの5G・MECを支える技術とは

「AI-on-5G」の実現に向けて取り組むソフトバンクとNTTドコモ。

京セラ5G/L5GをデュアルSIMで使い倒す!
映像伝送、DX、電波調査がこれ1台

ローカル5Gにも対応した京セラの5Gモバイルルーターが好評だ。

ローデ・シュワルツ・ジャパンローカル5Gのテスト品質は業界トップ
サポート人員を3倍、コストも低減

ローデ・シュワルツがローカル5Gの導入を手厚く支援する。

DNPローカル5Gを支える国産SIMカード
多様なプレイヤーをコンサル力で支援

大日本印刷(DNP)がローカル5Gに最適化させたSIMを提供!

構造計画研究所ローカル5Gの円滑な導入に貢献する
2つの電波シミュレーションツール

ローカル5Gの免許申請に必要な「カバーエリア図」作成を大幅効率化!

APRESIA Systemsローカル5Gに最適化した性能
導入コストは億単位から数千万へ

ローカル5Gの導入コストを数千万円台に引き下げるAPRESIA Systems

ミクシィ低遅延伝送に挑んだミクシィ、IP映像伝送の最新規格SMPTE 2110で

ミクシィのサービス「TIPSTAR」は、低遅延のIP映像伝送技術を駆使!

キーサイト・テクノロジー5G/ローカル5G/O-RAN/C-V2Xの
最前線を解説する技術イベント

7月7日(水)・8日(木)にオンライン開催!

ホワイトペーパー
ローカル5G情報局

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます
当ウェブサイトはCookieを使用しています。閲覧を続ける場合、プライバシーポリシーに同意したことになります。