次世代IP映像伝送「SRT」、マイクロソフトやアルジャジーラも惚れた!?

際限なく増大し続けるビデオトラフィックを安定的かつ効率的にIP伝送する新技術が求められている。これに応えるのがSRTだ。日本ではまだ「未知」と言ってよい技術だが、欧米では広く普及し始めている。

シスコシステムズの年次調査「Visual Networking Index(VNI)」によれば、世界のIPトラフィックに占めるビデオの割合は現在の75%から2022年には82%に増加する。そのトラフィック量は4倍にも膨らむ。

インターネット動画配信やSNS、そして業務用途でもIPネットワークを使った映像伝送ニーズはますます高まる。これに応えるには、モバイル網やインターネットのように帯域や品質が不安定で混雑に弱いネットワークでも安定的かつ効率的に映像を伝送できる技術が必要だ。

2017年にオープンソース化そこで今、放送/映像配信事業者等から次世代の映像伝送技術として注目されているのが「SRT」だ。

これは元々、カナダのHaivision社が開発した技術である。2014年から同社のコーデック製品に搭載されていたが、2017年4月にオープンソースとして公開された。SRTの普及推進を目的にHaivisionとWowzaが設立したSRTアライアンスには、コーデックメーカーや放送事業者、CDN業者など現在170の企業が参画している。2018年9月にはマイクロソフトも加盟し、Office 365やAzureにSRTを採用することを表明。今後、Office 365のビデオ会議やAzure等でも使われることになる。

SRTはSecure Reliable Transportの略であり、この名称が特徴を表している。①暗号化(Secure)と、②パケット損失を回復する(Reliable)機能を備え、かつ③汎用的なIPネットワークで伝送が可能(Transport)なことから幅広いシーンで利用が可能だ。

図表1 SRTプロトコルによる映像伝送のイメージ
図表1 SRTプロトコルによる映像伝送のイメージ

なかでもSRTを特徴付けているのが②だ。不安定なネットワークでも安定した映像伝送が行える仕組みを持つ。SRTアライアンスに加盟する数少ない日本企業の1つ、PALTEKでエンジニアリングディビジョン TS FAE部長を務める井坂一喜氏は「特にリアルタイム性が求められる用途に強い」と話す。

月刊テレコミュニケーション2019年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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