企業ネットワーク最前線

LPWAの開拓者はどう戦ってきたのか[後編]LoRaWANの現在地

文◎坪田弘樹(編集部) 2018.12.04

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LPWA市場のパイオニアとして、ユースケースとニーズを掘り起こしてきたSigfoxとLoRaWAN。その代表として、LPWAの全国サービスを手がけるKCCSとセンスウェイの2社に現状と今後の展望を聞いた。後編はセンスウェイの取り組みをレポートする。

 
KCCSに約1年遅れて、2018年4月に全国展開を目指してLoRaWANサービスを始めたのがセンスウェイだ。

Sigfoxとは対象的に、LoRaWANは、IoTサービスを提供する事業者やユーザー自らが自営型ネットワークを構築・運用できるのが特徴だ。公衆ネットワークとしてLoRaWANの全国展開を計画している事業者は、国内ではセンスウェイのみである。

なお、海外では通信事業者がLoRaWANの全国サービスを行っている例がある。フランスのオレンジ、韓国のSKテレコムだ。

これに対してセンスウェイは、2017年3月設立のスタートアップ企業であり、エンジェル投資家等からの資金調達によってインフラ整備を進めている。その意味でも、センスウェイのLoRaWANサービス「SenseWay Misson Connect」は珍しいケースと言えよう。代表取締役 執行役員社長CEOの神保雄三氏は、「未だに全国サービスをLoRaWANでやると宣言しているところは他にない。だからこそ我々はやる」と話す。

一見すると、LTE-MやNB-IoTを展開する携帯電話事業者と競合するようにも思えるが、センスウェイが描く戦略は異なる。「むしろ、どう協業するか。通信サービスの品揃えの1つとして、我々が構築するLoRaWANはキャリアにも十分に使ってもらえるはずだ。キャリアのネットワークが届かないラストワンマイルに我々のLoRaWANを使ってもらう。将来的にそういう協業ができるようなネットワークを作っていく」と神保氏は語る。

センスウェイ 代表取締役 執行役員社長CEOの神保雄三氏(右)と、執行役員CMOの益子純一氏
センスウェイ 代表取締役 執行役員社長CEOの神保雄三氏(右)と、
執行役員CMOの益子純一氏


エリア展開を三井不動産が後押しセンスウェイは2019年3月までに人口カバー率60%を目指している。「Sigfoxに比べると、まだしょぼい(笑)」と神保氏は言うが、エリア展開は順調に進んでいるようだ。現在は全国の主要都市と、その通勤圏へのインフラ整備を進めている。

その大きな推進力となっているのが、三井不動産との事業提携だ。

両社は今年6月、ユースケース発掘や実証実験も含めて、全国規模のIoT環境構築を進めるための事業提携契約を締結した。都市部にある三井不動産の高層ビルにゲートウェイ装置(基地局)を設置することで、長距離通信が可能なLPWAの特性を活かして「主要都市はかなり効率的にカバレッジできる」(神保氏)。

日本橋三井タワー屋上に設置されているセンスウェイのLoRaWANゲートウェイ
日本橋三井タワー屋上に設置されているセンスウェイのLoRaWANゲートウェイ


さらに、ニーズの顕在化もエリア展開を後押ししていると話すのは、センスウェイで執行役員 CMOを務める益子純一氏だ。「ガス、水道、電気等のメーター関連のニーズが出てきている。これに着実に対応していくことで、同時にエリアもまかなえる。そうして裾野を広げていきながら、新たな用途を開拓していこうと考えている」

いうなれば、三井不動産が全国で進めるスマートシティプロジェクトの通信インフラの一部を、センスウェイのLoRaWANが担うかたちだ。
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