“iPhone/iPad”導入企業はどこに惹かれたのか(2)――引越業のムービング エスの場合

数百台を超える大規模事例が登場し始めたiPhone。発売間もないiPadも次々と企業に浸透している。導入を決めた担当者は、この新端末のどこに魅力を感じ、どのような可能性を見ているのだろうか。第2回は引越業を行うのムービング エスのケースを取り上げる。

「当社のスタッフがどういう作業を行うのか。その質の高さをアピールするのに格好のツールだ」

ウェブハリケーン(横浜市都筑区)CEOの今井聡氏は6月中旬、引越業を行う子会社ムービング エスにiPadを導入した。訪問見積り営業や現場作業時において、顧客への業務内容の説明などに活用するためだ。

ウェブハリケーンCEOの今井聡氏
ウェブハリケーンCEOの今井聡氏

今井氏が着目したのは、やはり画面の大きさと起動の速さ、そして直感的に使える操作性だ。

引越し作業の中身は、顧客とその住まいによって十人十色の性格を持つ。「値段が安ければいい」というケースは別として、顧客のニーズに細やかに応え「質の高いサービスで勝負している」同社にとっては、作業内容をしっかりと説明して理解してもらうことが何よりも大切になる。

それに有効なのが写真だ。例えば新築物件では、壁や柱を傷つけないための養生の様子を、また入り口の狭い物件ではクレーンを用いた家具の搬送状況を収めた写真は、お客に対し説明を分かりやすくするだけでなく、大きなアピール要素にもなる。もっと身近な例では、洗濯機の設置をスムーズに行うためにも設置場所の形態を写真で確認できれば、滞りなく作業を進められる。

iPad
引越し作業に関わるさまざまな場面を収めた画像を使って顧客に作業内容を説明

ムービング エスでは、膨大な資料写真をカテゴリ別にiPadに収め、訪問見積もり時や現場作業時に説明資料として活用している。

iPad
見積書の閲覧にも活用

「iPadなら説明に流れが出る」

実際に客先で使用している営業チーフの杉崎雅信氏は「小気味いい操作感で滑らかに説明できる」と話す。以前、ノートPCで同様の試みをしたこともあるが、起動に時間がかかり、しかも立ったまま話すケースも多いため使いづらかった。だが、「iPadなら説明に流れが出る。しかも、PCの知識のないスタッフでもすぐに使える」という。

実際に営業現場などでiPadを活用しているムービング エス営業チーフの杉崎雅信氏
実際に営業現場などでiPadを活用しているムービング エス営業チーフの杉崎雅信氏

また、グーグルマップを開けば、地図を表示してトラックの駐車場所や狭い路地を確認したり、引越し先までの経路検索もすぐにできる。

iPad
iPadで地図を表示して引越し先の周辺情報を確認

「引越しの質の高さと安心を売るのがムービング エスの方針」と今井氏は語る。「当社の料金は大手よりも高い」のも、価格競争とは異なる場で勝負しているためだという。同社のWebサイトでは多種多様な引越し事例を紹介し、値段では計れない付加価値をアピールしている。

「iPadなら、現場でもそうしたコンテンツをお客様に直接見せてアピールできる」と今井氏は大きな期待をかけている。

【第1回】紳士服・婦人服販売大手、ニューヨーカーの場合
【第3回】全社員1400名にiPhoneを配布したアイエスエフネットの場合

月刊テレコミュニケーション2010年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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