好調の理由は“五輪特需”だけじゃない!ネットワークカメラの最前線は今どうなってる?

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、あらためてニーズが高まっている監視カメラ。IP化のトレンドは監視カメラでも進展しており、今やネットワークカメラが主流だ。マーケティングなど防犯以外への用途拡大も進み、2ケタ成長が続くネットワークカメラ市場の最前線をレポートする。

国内の監視カメラ市場は急速にIP化が進んでおり、2013年度に出荷台数でネットワークカメラがアナログカメラを逆転した。駅のホームのように遅延のないライブ映像が必要とされる分野ではアナログカメラの需要が一定程度は残るものの、今後はネットワークカメラが市場の中核を担うことは確実だ。

ネットワークカメラは、オフィスやデータセンター、流通・小売り店舗における防犯、食品工場の安全対策(Food Defence:食品防御)、さらには洪水や津波などの災害監視というように幅広い用途で導入が進んでいる(図表1)。最近では子供が犠牲になる犯罪が増えていることから、自治体の中には通学路にネットワークカメラを設置する動きも見られる。加えて、新たな市場の牽引役になると期待されるのが、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う需要だ。

図表1 ネットワークカメラのターゲット市場別台数規模・成長率
ネットワークカメラのターゲット市場別台数規模・成長率

オリンピックでは、会場となるスタジアムや選手村など関連施設だけで2000~3000台の監視カメラが導入される。2014年に開催されたソチオリンピックの際には、テロへの警戒体制から倍以上となる7000台、周辺地域も含めると1万1000 台が設置されたという。オリンピックを前に首都圏では再開発に伴うオフィスビルやマンションなどの建設ラッシュも予想され、ネットワークカメラ需要の底上げにつながると見られる。

「オリンピック関連で2万~3万台の導入を目指している」。こう語るのは、パナソニック システムネットワークス・セキュリティシステム事業部・業界ソリューショングループ東京オリンピック・パラリンピック推進チームでチームリーダーを務める関口昭義氏だ。

1988年以降、IOC(国際オリンピック委員会)の最上位スポンサーを務めてきたパナソニックは、歴代オリンピックで監視カメラを納入してきた実績を持つ。自国での開催となる2020年に向けて、パナソニック本体だけでなく、ネットワークカメラの事業部があるシステムネットワークスでも専任組織を立ち上げる力の入れようだ。同チームは6人で発足したが、開催までに陣容を拡大し、関係各所に導入を働きかける。

「オリンピックが終わったらおしまいではなく、東京の安全を支える設備としてレガシー(資産)化していきたい」と関口氏は意気込む。

2017年には78万台まで伸長

アナログからの移行に加えて、こうした需要の広がりにより、国内ネットワークカメラ市場はしばらく成長が続きそうだ。

調査会社テクノ・システム・リサーチによると、2013年のネットワークカメラの出荷台数は当初予想を約2万台上回る35万9479台となった。今後も年率10~20%程度で伸長し、2017年には78万7000台となる見込みだ(図表2)。

図表2 ネットワークカメラの国内出荷台数の推移
ネットワークカメラの国内出荷台数の推移

では、ネットワークカメラの製品トレンドはどうなっているのか。ここからは、ネットワークカメラの最新動向を紹介する。

月刊テレコミュニケーション2015年4月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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