ドコモ徳広常務「目指すは“最強のLTE”。高速・大容量でライバルを圧倒する」

NTTドコモがLTEインフラの整備ペースを急加速させている。3月末時点で2万4400局だったLTEの基地局を1年で5万局に増やし、10月に国内最速の下り最大150Mbpsのサービスをスタートさせる。また、より高速なLTE-Advanced の2015年商用化に向け取り組みを進めている。ドコモのネットワーク戦略を徳広清志常務に聞いた。


――NTTドコモのLTEサービス「Xi」は一番早く始めたのに、昨年秋頃からエリア展開で他社に抜かれた、スピードが遅いなどと指摘されてきました。しかしここにきて、「ドコモのLTEが速くなったのでは」という声を聞くことが多くなりました。

徳広 ドコモは、LTEの主力バンド2GHz帯の基地局の75Mbps化を急ピッチで進めています。その成果が出ているのだと思います。当社は、他の携帯電話事業者2社と同様、2GHz帯に3G携帯電話の5MHz幅の電波を4波運用できる20MHz幅の周波数の割当を受けています。他社に先駆け2010年12月からこの中の5MHz幅、4車線の道路の1車線分を3GからLTEに切り替えて、下り37.5Mbpsの高速データ通信サービスを提供してきました。

昨年12月時点で900万近くのお客様にお使いいただけるようになっていたのですが、お客様が増えたことでトラフィックの集中する都心部などでは、やや通信速度が出難くなっていました。まだ加入者が少ない他社のサービスと比べると、どうしても見劣りするようになってしまったわけです。

そこで、2012年から一部地域で進めていた2GHz帯LTE基地局の75Mbps化を前倒しで進めることにしました。LTEでは、帯域を2車線に広げることで最大通信速度も倍の75Mbpsになり、スループットも向上します。

――75Mbps対応の基地局数はどの程度になっていますか。

徳広 今年3月末時点は6800局でしたが、これを6月末までに1万7300局にしました。9月末には、2万5000局に持っていきます。

外部の調査会社が実施している携帯電話事業者の通信品質調査によると、3月時点で16MbpsだったXiの平均通信速度は、6月には25Mbpsに向上し、3社のLTEサービスの中で最も速くなっています。75Mbps対応基地局の増加が通信速度の改善に反映されていることがわかると思います。

特に、2GHz帯は3G/LTEの主力バンドなので基地局を密に打っていて、2 車線化によるスループットの改善効果が強く出ます。

――歴史的にドコモは圧倒的なインフラの強さを背景に、他社との競争を優位に展開してきました。しかし、LTEでは2年先行した優位性が十分活かせていなかったのではありませんか。

徳広 少し慎重になり過ぎたところがあったのだと思います。ドコモの6000万のお客様のうち、ある程度のお客様がLTE端末に買い替えられる前に3G用の車線をLTE 用に変更してしまうと、3Gの通信品質が悪化してしまう懸念がありました。

当時はタイミング的にも、装置調達の点からも既存の2GHz帯をLTEにも使う以外に手がありませんでした。これがネックになった部分があったと思います。

LTE端末をお使いのお客様は今年8月末時点で1583万を超えており、3Gの通信品質を落とさずにLTEの車線を広げられるめどが立ちました。これからは一気呵成に進めていきます。

月刊テレコミュニケーション2013年10月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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徳広清志(とくひろ・きよし)氏

1978年3月大阪大学基礎工学部制御工学科卒業、同年4月日本電信電話公社入社。92年7月エヌ・ティ・ティ移動通信網企画部担当部長。2000年4月エヌ・ティ・ティ・ドコモ人事育成部担当部長。01年7月同経営企画部担当部長。03 年6月同MM企画部長。04 年7月同ユビキタスサービス部長。06 年6月同執行役員ユビキタスサービス部長。2010年6月同常務執行役員関西支社長。2013年6月より現職

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