エス・アンド・アイ(S&I)は2011年2月22日、スマートフォンを企業の内線電話として利用する同社のアプリケーション「uniConnect(ユニコネクト)」のバージョンアップを発表した。オフィスでの利用に必要となる、会社番号での発着信や、保留・転送などの新機能を追加した「uniConnect Ⅱ」の提供を近日中に開始する。
エス・アンド・アイ代表取締役社長の藤本司郎氏 |
「iPhoneで、オフィスから卓上電話を無くす」――。
同社代表取締役社長の藤本司郎氏は、今回の機能強化の狙いをそう述べた。uniConnectは、S&Iが販売するソフトウェアIP-PBX「Communigate Pro」と、iPhoneやAndroidスマートフォンにインストールするアプリケーション「uniConnectダイヤラー」との連携により実現するソリューションで、スマートフォンを企業の内線電話として活用できるものだ。
「uniConnectダイヤラー」の画面。iPhone用のほか、複数機種に対応したAndroidスマートフォン用アプリもある |
通信キャリアの通話定額サービスと組み合わせることにより、社員のスマートフォン同士、スマートフォンと社内の電話機との間の通話を無料化できるのが1つ目の特徴。さらに、スマートフォンから取引先など外部への電話発信についても、コスト削減が可能だ。発信する際、スマートフォンから直接電話をかけるのではなく、uniConnectダイヤラーからIP-PBXに発信命令を出して固定回線を経由させる独自の仕組みで(下図)、携帯電話網を使う場合よりも通話料を割安にできる。
図表:uniConnectダイヤラーを使った発信の仕組み(出典:S&I) |
現在、uniConnectダイヤラーはiPhone用のほか、Androidスマートフォン用もリリースされており、今回、機能を大幅に強化した「uniConnect Ⅱダイヤラー」をiPhone向けに提供開始する。
前述の通り、uniConnect Ⅱの狙いは、スマートフォンを卓上電話機の代替として利用可能にすること。第3事業部長の村田良成氏は新機能の紹介にあたり、「スマートフォンを卓上電話と同等に使えるようにするためには新たに4つの機能が必要」として、(1)会社番号での発着信と、着信時の相手先番号表示、(2)保留・解除、(3)転送、(4)コールピックアップ(代理応答)の機能を加えたと説明した。これにより、卓上の電話機が不要になれば、設備にかかるコストが削減できるうえ、スマートフォンの機動性もより活かせるようになる。社員のモビリティも向上することで業務効率の改善効果も期待できる。
(1)については、社内のIP-PBXで受けた電話がスマートフォンに転送されることで着信することができるが、従来は転送を行うIP-PBXの番号が発信者番号として画面に表示されるため、元の発信者がわからないまま電話に出るしかなかった。uniConnect Ⅱでは、転送と同時に、インターネット経由で元の発信者番号をスマートフォンに送信し、画面に表示する機能を追加した。
(2)~(4)については、画面上のタップ操作により、通話中の呼を保留したり、転送したりといった操作を可能にした。また、転送に関する設定はスマートフォンからユーザー自身が変更することができるため、例えば休暇中など、電話を受けたくないときには内線電話機としての機能をオフにすることもできる。そのほか、ボイスメールの機能も追加された。
受話器付きのiPhoneドックも販売する。自席にいるときは、ドックにiPhoneを指せば受話器で通話できる |
このuniConnect Ⅱダイヤラーアプリは、まずiOS4対応版を提供開始した後、5月にはAndroid対応版の提供を予定しているという。また、現在は、ソフトウェアIP-PBX「Communigate Pro」をインストールしたサーバーを自社内に導入する必要があるが、2011年9月には、これをSaaS型で利用できるサービス「uniConnest Cloud(仮称)」の開始も予定しているという。