KDDIは2022年3月18日、日本で初めて量子コンピューティング技術を活用し、基地局の通信品質の改善を図ったことを発表した。

同年1月から2月に東京都・神奈川県の一部の基地局約1000局の設定を最適化。通信速度がさらに向上したことで、動画などの大容量コンテンツを今まで以上に快適に利用できるようになったとしている。

4G/5G基地局には、複数の基地局間で影響を考慮しなければならない設定があり、この設定を最適化することで通信品質を向上させることができる。だが、多くの基地局を対象にすると、従来型の汎用コンピューターによる総当たり計算では年単位の時間がかかるほど膨大な設定パターン数になるという。そのため、これまでは、現実的な時間で多くの基地局の最適化を完了することが困難だった。

今回の取り組みでは、量子コンピューティング技術と、KDDIが保有する設定を効率的に行うための特許技術を活用して、多くの基地局をまとめて最適化する手法を確立。これにより、前述の設定の最適化を自動で行うことができるようになった。

本手法を、富士通が開発した量子インスパイアード技術である「デジタルアニーラ」を用いて実行することで、約1000局の基地局の最適化を約60分で計算でき、従来できなかった精度の品質改善が可能になったという。

KDDIでは2022年度以降、量子コンピューティング技術を活用し、東名阪の都心部を中心として4Gおよび5Gのさらなる通信品質向上を目指すとしている。