EVPN-VXLANファブリックの導入容易に ジュニパーがAIドリブン強化

ジュニパーネットワークスはエンタープライズ向けに大きく2つの機能を拡充する。1つはEVPN(イーサネットVPN)-VXLAN(仮想拡張LAN)導入のサポート。データセンターネットワークで進むレイヤー3のファブリック技術だが、その導入をエンタープライズでも容易にする。もう1つはAIによるトラブルシューティング自動化の範囲拡大だ。

大企業のネットワークにもクラウド化の波が押し寄せてきているなか、ジュニパーネットワークスは2021年9月28日、エンタープライズ向けのソリューション群である「AIドリブンエンタープライズポートフォリオ」の拡充を発表した。

今回の拡充の内容は大きく2点あり、いずれもクラウドからサービスの形で利用することができる。1つめの拡充はAIを活用した、キャンパスネットワーク向けの機能の強化だ。

ジュニパーネットワークス 技術統括本部 エンタープライズ アーキテクト 和久利智丈氏
ジュニパーネットワークス 技術統括本部 エンタープライズ アーキテクト 和久利智丈氏

エンタープライズのキャンパスネットワークにおいては、ネットワーク機器が膨大なことから、基本的に管理性に課題を抱えている。また、ループ防止のために「Spanning Tree Protocol(STP)」を利用する場合、Active-Stanby構成をとる必要があることから帯域不足になりやすい。

こうした課題を解決するため、約20年前に登場したのがイーサネットファブリックだ。レイヤー2ベースで相互接続した複数の物理スイッチを仮想的に1台のスイッチとして扱え、さらにActive-Active構成がとれる。

ただ、このイーサネットファブリックについて、ジュニパーネットワークス 技術統括本部 エンタープライズ アーキテクトの和久利智丈氏は、「設定が容易で、集中管理もしやすいというメリットもあるが、ベンダーごとに接続の方式が違うのでハードを統一する必要がありロックインが発生しやすい。トラブルシューティングも複雑で、ベンダーの担当者を呼ばなくてはならないことも多々ある」と指摘する。

ジュニパー AI

レイヤー2の方式で相互接続している場合、管理性などに課題が出てきている

そこで、ジュニパーは今回の拡張で、「EVPN-VXLAN ファブリック」を適用するためのテンプレートをクラウドに用意した。EVPN-VXLANファブリックはレイヤー3レベルのファブリック技術で、データセンターなどで導入が進んでいる。

「レイヤー3レベルで相互接続することで、インターネット標準である『BGP』などのプロトコルを利用できるようになるため、トラブルシューティングも容易になるし、Active-Active構成をとれるので帯域も有効利用できる。EVPN-VXLANは従来からネットワーク技術者にとって、運用が容易になるというメリットは知られていたが、手順が複雑で導入の難易度が高かった。当社は今回、企業のネットワーク構成に応じた複数のテンプレートを用意しており、ユーザーのログデータをAIで解析して最適なテンプレートを提案できる。Webブラウザで当社のクラウドにアクセスして、提案したテンプレートの手順通りに動かせばEVPN-VXLANを各拠点やWANに導入できるイメージだ」

ジュニパー AI

ジュニパーのテンプレートに従ってEVPN-VXLANを適用していく際のイメージ。接続機器はQRコードで登録することができるようになった

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