「まず5G vRANでデファクトを狙います。将来的には、工場の産業用ロボットの一元管理や車の自動運転、ドローンの運行管理など、ミッションクリティカルでインテリジェントな処理を必要とするエッジシステムで幅広く使われるでしょう」
ウインドリバー 営業技術部ディレクターの青木淳一氏は、3月に日本での提供を発表したエッジクラウドプラットフォーム「Wind River Studio」の展開をこう予測する。
ウインドリバー(Wind River Systems)は、米カリフォルニア州に本社を置くソフトウェアベンダー、40年にわたって組み込みシステムを手掛ける。同社のリアルタイムOS「VxWorks」、商用組み込みLinux「Wind River Linux」は、それぞれの製品分野でトップシェアを握る(VDC Research 調べ、売上ベース)。エッジクラウドは、組み込みOSの老舗、ウインドリバーが新たな事業の柱とすべく注力している分野だ。
ウインドリバー 営業技術部 ディレクター 青木淳一氏
「我々が得意としてきた高いセキュリティ、安全性、信頼性を求められるシステムが単体ではなく、5GのネットワークでつながりAIなどと連携することで新たな価値を生み出すことになるでしょう。これを我々はインテリジェントエッジシステムと呼んでいますが、その実現には地理的に分散されているデバイスを束ね、全体を鳥瞰的に管理しながら、高可用運用できるインフラが必要になります」と青木氏は語る。
Wind River Studioは、ウインドリバーがエッジクラウドおよびプラットフォーム関連製品のポートフォリオを進化させ、開発・導入・運用・サービスというライフサイクルの全フェーズに対応できるようにしたもの。開発者向けの「Developer Capabilities」と、システムを運用する通信事業者などを対象とした「Operator Capabilities」の2つの製品群が提供されている。
Developer Capabilitiesは、開発担当者と運用担当者が連携して開発を効率的に進める開発手法、DevOpsを拡張してセキュリティチームとも連携できるようにした「DevSecOps」による、エッジクラウドシステムの開発ツールキット(CI/CDパイプライン) だ。
「セキュリティ対策や市場ニーズへの対応のため、エッジクラウドは頻繁にアップデートする必要があります。一度稼働したらそのまま使い続けられることが多い組み込みシステムとは異なり、市場からのフィードバックを取り込んで修正を図るアジャイルな開発環境が重要です」(青木氏)