「あまり知られていないが、Wi-SUNデバイスは世界ですでに1億台近くも出荷されている。最近は屋外仕様のWi-SUN FANを用いてスマートユーティリティやスマートシティを実現しようとする動きが、米国や中国などで活発になっている」
Wi-SUNの生みの親で、現在Wi-SUNアライアンスの副理事長を務める京都大学 教授の原田博司氏はWi-SUNの「今」をこう説明する。
京都大学教授 Wi-SUNアライアンス 副理事長 原田博司氏
Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)は、日本では920MHz帯を用いるIoT向け無線規格だ。推進組織のWi-SUNアライアンスが、アプリケーションに応じたプロファイルの策定や、相互接続性を確保するための認証を行っている。
Wi-SUNの導入は、まず電力スマートメーターから始まった。スマートメーターと家庭内HEMS間をつなぐ「Bルート」用として、日本全国の電力会社に採用されている。
2015年にはHEMSコントローラーと家電などとの通信を実現するWi-SUN HAN(Home Area Network)の認証がスタート。さらに2018年には1ホップまでのリレー通信や、省電力化によりバッテリー駆動のデバイスにも対応した拡張仕様であるEnhancedHANも加わり、スマートホーム向けのプロファイルが拡充した。
「国内の電力会社のスマートメーターはWi-SUNに対応しているため、最近増えてきたWi-SUN対応のIoTゲートウェイを利用すれば、ユーザー自身で電力の見える化や、さらにスマホでの家電のリモコン操作による節電などが行える」と原田氏は話す。
また、家庭だけではなく、医療・介護施設での採用も増えているそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、患者が自身で計った体温や血圧等のデータを“非接触”で確実に収集するためにWi-SUNが利用されているという。
「各種機器に搭載されたBluetoothでIoTゲートウェイまで飛ばしたデータをWi-SUNで集約し、最後に有線やLTEでクラウドなどへ送信する。Wi-SUNが選ばれる理由の1つは、920MHz帯を使うので、Wi-Fiと違って干渉が少ないからだ。もう1つは距離が飛ぶこと。Wi-SUNは数百メートル以上飛ぶので、1ホップで家庭内や施設内をほぼカバーできる」
さらにガス・水道メーター向けに省電力化を図ったプロファイル、Wi-SUN JUTA(Japan Utility Telemetering Association)の認証も2019年にスタートし、東京ガスでの導入が始まっている。