「我々は『データセンター企業』から『デジタルインフラストラクチャー企業』へとポジショニングを変える」
エクイニクス・ジャパンは2020年10月19日、オンライン記者説明会を開催。今年5月に代表取締役社長に就任した小川久仁子氏はこう語った。
エクイニクス・ジャパン 代表取締役社長の小川久仁子氏。同社社長就任前は、
日本IBMのバイス・プレジデント、マクロミルの執行役グローバルCTOなどを歴任した
コロケーション市場におけるシェアは世界トップの13%(Synergy Research Group調査)と、データセンター業界をリードしているエクイニクス。だが、1998年に創業したエクイニクスの元々の出発点は、データセンター事業ではない。インターネット関連企業への相互接続ポイントの提供が始まりだった。エクイニクスの社名も、「Equality Neutrality Internet Exchange(平等・中立なIX)」に由来する。
その後、「つなぐ場所に加えて、スペース&パワー(ラックスペースと電源)の3つを提供していった」(小川氏)というのが同社の成り立ちだが、現在はデータセンター企業としてエクイニクスを認識している人が大半だろう。「社内でもそうだった」と小川氏。エクイニクスは現在、世界56の都市圏で214を超えるデータセンターを運営している。
エクイニクスのコロケーション市場における世界シェア
それが今、デジタルインフラストラクチャー企業を標榜し始めた背景には、デジタル化がいっそう進展する中、エクイニクスをさらに進化させようという狙いがある。
具体的には、これまでから提供してきたデータセンターおよび相互接続・クラウド接続の2つのサービスに加えて、デジタルインフラ構成ブロックとエッジサービスへとサービス領域を拡大する。
デジタルインフラ構成ブロックとしては、物理サーバーをクラウドで提供するベアメタルサービス「EquiniX Metal」の提供を開始した。データセンターのスペース&パワーにとどまらず、サーバー自体の提供にも乗り出した。
エッジサービスとは、ルーターやスイッチ、ファイアウォールなど、デジタルインフラの構築に必要なネットワークエッジを提供するサービスを指しており、これは来年の開始予定だ。
これらサービスを一元的に設定管理するためのオーケストレーションツールも用意し、「クリックだけで15分で構築できる」と小川氏はアピールした。
デジタルインフラ構成ブロック、エッジサービスへとサービス領域を拡大し、
デジタルインフラ企業への進化を図るエクイニクス
さらに小川氏は、AWSやグーグル、マイクロソフト、Dropboxといったハイパースケーラー向けのデータセンターである「xScaleデータセンター」についても紹介した。大電力を必要とするハイパースケーラー向けの「特殊なデータセンター」(小川氏)であるxScaleデータセンターを東京に2カ所、大阪に1カ所開設する。
先のベアメタルサービスは、エクイニクスの重要なパートナーであるハイパースケーラーが以前から提供している。つまり、ハイパースケーラーと競合するサービスとなる。この点について会見で聞かれた小川氏は、競合すること自体は認めたものの、「我々は中立ということを重視しており、お客様の選択肢を増やすという観点からストラテジーを組み立てている」と説明。自社のコロケーションサービスからの移行を推奨する考えもなく、ユーザーの選択肢拡大が目的と強調した。
ハイパースケーラー向けのxScaleデータセンターにも積極投資していく