「初めてデータを見たときには、『あぁ、ここにサーブを出していなかった』『こんなに(自分のコースは)偏っていたのか』と、新しい発見があった。いままで“なんとなく”だったものが、データで見ると全然違う。本当に参考になっている」――。
2020年1月22日にシスコシステムズが開催したメディアイベントで、卓球の石川佳純選手はシスコのサポートに対する感想について、そう話した。
メディアイベントでシスコのサポートについて話す石川佳純選手
石川選手からのリクエストに基づいてシスコが試合映像を解析。サーブとレシーブに関して、サーブの種類に応じた得点率や失点率、バウンドポジションの分布と得失点との相関等を分析した結果をレポートとして提供している。昨年11月からこれまで約20種類のレポートを作り、練習や戦術立案に役立てているという。
対戦前に相手の試合映像をチェックすることが多い石川選手のリクエストに応え、
タブレット端末で見たいシーンを瞬時に表示するシステムなどを開発して提供している
いつでもどこでもコーチとコラボレーション
シスコは2017年12月に、最新のテクノロジーで選手の競技活動をサポートする「シスコアスリートアンバサダープログラム」を開始。卓球の石川選手と張本智和選手、およびパラ陸上の3選手を支援している。
石川選手に関しては、約10人のシスコ社員とパートナー企業で「Team Kasumi」を編成。マーケティング本部 東京2020オリンピック・パラリンピック部長の生田大朗氏によれば、大きく3つのアプローチでサポートを続けてきているという。
シスコ代表取締役会長の鈴木和洋氏(右)と、
マーケティング本部 東京2020オリンピック・パラリンピック部長の生田大朗氏
第1段階は、コラボレーションツールの提供だ。年間で十数試合の海外遠征をこなす石川選手とコーチ等がいつでもどこでも簡単に、かつセキュアにコミュニケーションや情報共有が行えるよう、コラボレーションツール「Cisco Webex Teams」を提供した。「すべてのデータが暗号化され、かつファイル共有も最大2GBまで可能なので、動画も安全に共有できる」(生田氏)。
第2段階は、練習場のデジタル化だ。
シスコのICTツールを活用した練習風景
当初はネットワーク環境そのものが無かったが、Wi-Fi環境を構築し、ビデオ会議やホワイトボード機能などを備える「Cisco Webex Board」を設置。前述のWebex Teamsとも連携することで、リモートからコーチが練習の様子を確認してアドバイスを行うといったかたちで活用している。
石川選手は、「試合映像をコーチと共有して研究することもできる。すごく助かっている」とその効果について話した。