東芝は2019年12月12日、5Gのバックホール回線向け高速無線技術を開発し、実証試験で20Gbpsの伝送速度を達成したと発表した。同技術を活用することにより、バックホール回線として光ファイバーを敷設する必要がなくなり、工事費やメンテンナンスの削減が可能だという。
東芝が開発した無線技術は、垂直方向と水平方向の2つの偏波(電磁波)を用いて信号を多重化する偏波MIMO-OFDM方式に、独自の歪み補正技術を組み合わせたもの。
従来のMIMOは、アンテナ間に存在する障害物による反射波を利用して各信号の独立な経路を確保するが、無線バックホールはビルなどの障害物がないエリアに設置されるため、性能が劣化する。一方、偏波MIMOでは、偏波の違いにより互いに干渉しない独立経路を確保できるため、安定的に伝送速度を2倍にできるという。さらに独自の歪み補正技術により、受信側の情報を高品質に取り出すことに成功したとのこと。
実証試験における送受信間距離は900m。受信側に減衰器を入れることで5kmを模擬した。