Red Hat OpenShiftとは、Red Hatが提供するエンタープライズ対応のKubernetesコンテナプラットフォームだ。コンテナ化アプリケーションのクラウド開発、ホスティング、スケーリング、デプロイメントを支援するプラットフォームであり、最新版の「Red Hat OpenShift 4」では、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境におけるデプロイメントを管理するための自動運用機能を実装した。
OpenShift 4の概要
クラウドプラットフォームビジネスユニットで製品担当バイスプレジデントを務めるジョー・フェルナンデス氏は、「異なるインフラを介して、アプリケーションを走らせることができる」とその特徴について説明。「様々なクラウド、データセンターでコンテナ化アプリ、マイクロサービスを展開し運用できるため、お客様はあらゆる場所でクラウドのような体験を経験することができる」ことを、OpenShiftが選ばれる理由の1つに挙げた。
実際、OpenShiftは多くの業界のリーディング企業で活用されている。例えば金融業ではドイツ銀行やシンガポールのDBS、英BARCLAYSが、自動車業界ではダイムラーやボルボ、BMWが採用。そのほか、小売業ではIKEA、Best Buy、物流のDHL等もユーザーとして名を連ねている。
BMWはコネクテッドカー向けサービス「Connected Drive」のサービス基盤としてOpenShift 4を採用している
8月に新たに提供が始まった「Red Hat OpenShift Service Mesh」とは、OpenShift 4上でKubernetesアプリケーションのサービス間通信を制御する「サービスメッシュ」を実現するものだ。
マイクロサービス間通信の制御を効率的に行う「Open Shift Service Mesh」
サービスメッシュとは、マイクロサービス化に伴って生じるサービス間通信の複雑化を解消するために開発されたもので、トラフィック管理やポリシー適用、セキュリティ等を、専用インフラストラクチャ層としてアプリケーションに直接組み込む。これにより、マイクロサービス間で行われる通信の監視や最適化を効率的に行うことができる。
このサービスメッシュを実現するテクノロジーとしては、IBM、Googole、Lyftが開発したオープンソースのIstioがあるが、OpenShift Service MeshではそのIstioの機能をさらに拡張することで、サービス間通信の制御をシンプル化、容易化している。具体的には、Istioによって行うサービスメッシュの作成・管理に加えて、可視化やトレーシング(サービス間のリクエストの追跡)、計測、トポロジー表示等の機能を追加。フェルナンデス氏は、「これにより、Istioをコアとしながら効果的なソリューションとしてサービスメッシュが使えるようになる」と説明した。
レッドハット クラウドプラットフォームビジネスユニット
製品担当バイスプレジデントのジョー・フェルナンデス氏(左)と、製品担当のマリア・ブラッチョ氏
また、今回の説明会では、米Red Hatが9月16日に提供を開始したクラウドIaaSソリューションの最新版「Red Hat OpenStack Platform 15」についても紹介した。
クラウドプラットフォームビジネスユニットで製品担当を務めるマリア・ブラッチョ氏によれば、ネットワーク機能仮想化(NFV)やエッジ・コンピューティング、さらにAIや機械学習、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)など様々な用途にOpenStackのユースケースが広がっているという。
こうした要望に応えるため、OpenStack Platform 15では、パフォーマンスやクラウドセキュリティの強化、サポート対象ハードウェアの拡張等を実施したという。
特に、最近需要が高まっているエッジ・コンピューティングにおいては、多様なロケーションと環境においてコンピューティングリソースの展開と運用が行われるが、OpenStack Platform 15では「どのようなエッジの環境でも同じように展開し、運用できる」とそのメリットを強調した。