「日本の携帯電話料金は世界からみると高い。例えば、一気にLTEを全国に展開したインドでは、1カ月の料金が3~4ドル。日本ではヘビーユーザーなら月に1万円。我々はここに殴り込みをかけようと挑んでいる」
Rakuten Optimism 2019のオープニングキーノートに登壇した楽天の三木谷浩史会長兼社長は、10月に始めるモバイル通信サービスについてこのように述べた。「モバイルネットワークの民主化」こそ、楽天が携帯電話市場に参入する最大の意義だという。
楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏
これを実現するための鍵となるのが、「完全仮想化ネットワーク」だ。
従来は、専用ハードウェアの通信機器を組み合わせて構築していた携帯電話ネットワークを、汎用ハードウェアと仮想化基盤、そしてネットワーク機能を実現するソフトウェアの組み合わせによって実現する。三木谷氏は改めて、現在構築中のこの新しい携帯電話ネットワークの特徴について説明した。
同氏によれば、携帯電話ネットワークを「完全仮想化」することで様々なメリットが得られるという。「ハードウェア(専用の通信機器)の場合は、ちょっとした変更を行う場合でも、ハードごと変えなければならない。それがソフトウェア変更だけで可能になる。完全仮想化することで、ネットワークとサービスの柔軟性が高まり、かつ投資金額の抑制、メンテナンス費用も大幅に下げることができる。新しいサービスも早く導入できる」
三木谷氏は、「完全仮想化は5Gネットワークにも大きなインパクトをもたらす」と話した
楽天のこの取り組みには、世界中の通信事業者が大きな関心を寄せているという。三木谷氏は、ある携帯電話事業者大手のトップから「携帯電話ネットワークの常識がひっくり返る。iPhoneはデバイス上のレボリューションを実現したが、楽天は道路(通信路)に革命を起こす」と表現されたというエピソードを紹介。そのうえで、「これができることを証明してみせる」と意気込んだ。
【訂正とお詫び】本記事を掲載した時点で、インドの携帯電話料金を「1カ月の料金が300~400ドル」と誤って記載していました。正しくは「3~4ドル」であり、本文内はすでに修正しています。お詫びとともに訂正いたします。