シスコシステムズの代表執行役員会長を務める鈴木和洋氏によれば、同社は「優れた技術をもつ企業との提携を進めている。特に、IT企業以外との戦略的な提携をいま強化しているところ」という。
(左から)シスコシステムズ 代表執行役員会長 鈴木和洋氏、
シスコシステムズ バイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー Webex端末担当 スノーレ・キャブス氏、
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ プロフェッショナル・プロダクツ本部 副本部長 小島政昭氏
今回のソニーとの取り組みもその一環であり、コンシューマ向けおよび放送事業者向けカメラなどで実績を持つソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズの技術を取り入れることで、ビデオ会議ソリューションの付加価値を高めるのが狙いだ。
シスコはビデオ会議ソリューションの「Cisco TelePresence」において豊富なラインナップを揃えており、その中にはモニター/コーデック装置、カメラが一体となったものや、各コンポーネントが分離しているものが含まれる。今回の取り組みでは、後者に当たるカメラ分離ビデオ会議ソリューション「Cisco WebEx Room Kitシリーズ」にソニー製カメラを採用。2018年12月から国内販売を始める。
ソニー製カメラを採用した「Cisco WebEx Room Kit Plus PTZ」
なお、今回採用したのは遠隔からパン/チルト/ズーム操作が可能ないわゆる「PTZカメラ」で、ビデオ会議を行いながら話者にフォーカスを当てたり、会議を行う相手側に見せたい資料やモノにズームするといった用途で用いる。シスコはこれまでビデオ会議用にPTZカメラを自社開発してきたが、今後はソニー製カメラの搭載に切り替える。
シスコシステムズのWebex端末担当 バイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのスノーレ・キャブス氏は、ビデオ会議ソリューションの開発に当たって「我々はユーザーがテクノロジーを意識しないで使えることを意識しながらやってきた」と説明。その上で、ソニーが持つイメージング技術がビデオ会議の体感品質や使い勝手の向上、さらには今後の製品開発に貢献すると強調した。
カメラ1台ごとにデバイス調整・検査
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ(SIPS) プロフェッショナル・プロダクツ本部 副本部長の小島政昭氏は、「我々のPTZカメラはこれまでも大会議場や教会などで使われてきており、専任のカメラマンがいないような場所において被写体を高品質にキャプチャすることでご愛用いただいてきた」と、同社カメラ製品の実績を紹介した。
なお、同氏によれば、最近は放送の分野でも省人化が進んでおり、スポーツやスタジオライブの中継においても、現地にはカメラマンがおらずセンターからカメラを操作して撮影することが増えているという。
SIPSがOEM提供するPTZカメラ
今回、シスコのビデオ会議に搭載するPTZカメラについては「コンシューマ向けのαシリーズや放送事業者向けのシネマカメラと同じ工程で設計、同じ工場で調整・検査を行っている」という。カメラを構成する様々なデバイスのバランスによって露出やオートフォーカス、ホワイトバランス等の精度が変化するため、「1台ごとに調整・検査を行ったうえで出荷している」と話した。
ソニー製カメラを搭載した「Cisco WebEx Room Kit Plus PTZ」は2018年12月以降、日本国内で販売を開始。その後、アジア市場へも提供する予定だ。