IDC Japanは2018年7月4日、企業向けルーター、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器からなる国内企業向けネットワーク機器市場予測を発表した。これによると、2017年の同市場は「成熟化の動きに反して」、前年比8.3%増の2223億4600万円だったという。
いずれの製品分野も前年を上回ったが、2桁成長を遂げたのが企業向けイーサネットスイッチ市場で、IDC Japanでは成熟市場でも例外的に成長する「特異年」だったとしている。データセンター向け市場においてパブリッククラウド向けを中心に需要が伸びたことと、企業や大学の既存イーサネットスイッチの更新が進んだことが要因だという。
企業向けルーター市場については、拠点に設置されることが多いローエンドルーターとSOHOルーターが出荷台数を大きく伸ばした。「クラウド利用の拡大」と「多機能かつセキュアなWANサービスに対するニーズの増加」によるVPNサービス市場の成長が背景にあるという。
企業向け無線LAN機器市場も、2017年のアクセスポイントの出荷台数と市場規模が共に前年を大きく上回った。
このように2017年は大幅な成長を遂げた国内企業向けネットワーク機器市場だが、今後はマイナス成長となる。2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR)はマイナス2.4%と予測している。企業向け無線LAN機器市場の成長は続くが、他の市場では成熟化が進むという。
なかでも「ワイヤレスファースト」の動きと競合する、L2 Fixed Unmanagedスイッチ市場は、2017年~2022年のCAGRでマイナス9.1%と大幅に縮小する見通しだ。
「イーサネットスイッチベンダーと無線LAN機器ベンダーは、ワイヤレスファーストのアクセスネットワーク戦略を再考すべきである。イーサネットスイッチベンダーは、ニッチ市場として残存者利益を狙うか、無線LANポートフォリオを取り揃え拡充してワイヤレスファーストの波に乗るかの判断を迫られている。無線LAN機器ベンダーも製品ラインナップ拡充競争を続ける覚悟を持たなければならない」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
国内企業向けネットワーク機器市場 支出額予測