連載の第1回、第2回でも紹介した通り、総務省は2009年6月の1.5GHz帯と1.7GHz帯の割り当てを発表した際、携帯電話キャリア各社が申請した次世代インフラ整備計画の概要を公表している。
図表1 携帯電話事業者4社の基地局整備計画の概要(出典:総務省) |
ただ、この計画概要を読むうえでは、1つ注意すべきことがある。それは、この計画が申請時点の状況を前提とした暫定的なものである点である。今後、大幅な変更も予想されるのだ。計画変更の大きなファクターとなるのは、2010~2011年に決まる700/900MHz帯の帰趨である。
700/900MHz帯は第2の「黄金バンド」
700/900MHz帯は、2011年7月のアナログTV放送の終了に伴い空き地となる700MHz帯の一部と、800MHz帯再編で2012年7月に運用が終わる900MHz帯の携帯電話用帯域(旧800MHz帯の上り帯域)を、新たに移動通信用に割り当てるものである。
NTTドコモがPDC、KDDIがCDMA2000の主力バンドとして利用してきた800MHz帯は、2GHz帯や1.7GHz帯と比べて伝搬特性に優れ、山間部などでのエリア構築や屋内ロケーションのカバーで有利だ。このため800MHz帯の割り当てを受けていないソフトバンクは、この帯域を「黄金バンド」と呼んでいる。
現在行われている800MHz帯再編は、アナログ携帯電話の時代から順次割り当てられ、細切れ状となっている旧800MHz帯を、HSPAやLTEが導入しやすい30MHz幅の連続した帯域(新800MHz帯)に整理し、ドコモとKDDIに15MHz幅ずつ再割り当てするものだ。
700/900MHz帯はこの新800MHz帯を挟む形で設定されるもので、800MHz帯と同様の良好な伝搬特性を持つ。そこで800MHz帯を持たないソフトバンクは割り当てを強く求めてきた。ドコモやKDDIも旧800MHzのインフラを活用して容易にエリアを構築できることから、獲得に意欲的だ。