5Gの商用導入に向けた具体的な議論が、日本でもいよいよ始まった。
舞台となるのは、情報通信審議会新世代モバイル通信システム委員会技術検討作業班。同作業班は2017年5月の発足後、NB-IoTやLTE-Mの技術条件の検討などを行ってきたが、12月21日の3GPPの会合(TSG RAN Plenary)において、5Gの無線仕様である5G NR(New Radio)の第1版の策定が完了したのを受けて、同月22日に開かれた第4回会合から、5Gの技術条件の検討を本格化させたのだ。
新世代モバイル通信システム委員会では、作業班が今年5月に取りまとめる報告書をもとに、夏頃までに技術的条件を策定。これに基づいて総務省は、5G向けの新周波数を2018年度末までに割り当てる計画だ。
第4回会合では、欧州ビジネス協会の電気通信委員会委員長として作業班に参加している本多美雄構成員(エリクソン・ジャパン 標準化・レギュレーション担当部長)が、ノキアとエリクソンが作成した資料を用いて、固まったばかりの5G NRの概要を報告した。
今回策定された5G NRについて、本多氏に解説してもらった。
4つの運用形態を検討21日の3GPP会合で策定された5G NRの仕様は、4G(LTE)のエリアの中に5Gのエリアを構築、5Gと4G双方の通信制御を4G側のコントロールチャネルで行うNSA(Non-StandAlone)と呼ばれるネットワーク構成を前提としたものだ。4Gと5Gとの連携がスムーズに行えることから、日本や欧州など多くの国は、NSAによる5Gの早期導入を目指している。
5G単独で運用するSA(Stand Alone)向けを含む5G NRの最終仕様は、今年6月の3GPPの会合で策定される予定だ。
3GPPでは現在、NSAとSAのいずれか、コアネットワークに5G仕様(5GC)と4G仕様(EPC)のどちらを用いるかによって、4種類のネットワークアーキテクチャを想定している(図表1)。
図表1 5G NRのアーキテクチャー
本多氏によると、今回策定された5GNRの仕様は、①コアネットワークにEPCを用いるNSA型ネットワーク「オプション3」に対応したものとなる。
今後、②NSA型だがコアネットワークを5GCに進化させた「オプション7」、③SA型の「オプション2」、④5G NR側のコントロールチャネルで4Gと5G双方を制御する「オプション4」に対応した仕様の策定も進められる。オプションの数字が飛んでいるのは、「検討の過程で実用性の低いものを落とした」(本多氏)ためだ。