ソニーエンジニアリングは2017年8月30日、食肉用に育てられた牛の起立困難状態を検知し、農家のスマートフォンにその状態を通知する「うしらせ」を開発したと発表した。
うしらせの想定ユーザーは、牛を100頭異常の規模で使用する中・大規模肥育農家。9月7日に開催される「第11回全国和牛能力共進会」でデモンストレーションを実施するという。
うしらせでは、センサーを搭載した「牛端末」で牛の横臥状態を検知する。牛端末は、全国農業協同組合連合会(JA全農)の協力のもと、農場での実証実験などを繰り返し、検知の精度を検証してきたという。牛の起立困難検知に特化した牛用のウェアラブル端末だ。
センサーを搭載した「牛端末」 |
牛端末で検知した情報は、牛舎内に設置する基地局へ情報を送信する。牛舎内の無線通信は、同社がコンサートライブ無線制御型LEDライトシステム「FreFlow(フリフラ)」で積み重ねてきた920MHz帯の独自LPWA(Low Power Wide Area)無線技術を活用。基地局からはクラウドへデータを送信する。
「うしらせ」のシステムイメージ |
基地局セット |
「うしらせ」のスマホアプリ |
牛が一定時間、横臥状態に陥ると、農家のスマートフォンにインストールしたアプリが警告音を発し、警告画面を表示する。夜間でも外出先でも確認が可能だ。起立困難状態が解消すると、解消状態も通知する。
牛端末と基地局はオープン価格。基地局は、牛舎1棟(100m×30m、約300頭を想定)に対して1基設置するイメージで、月々の通信費用はかからない。200頭飼養規模の農家の場合、初年度の導入コストは100万円未満になる見込みだ。