NTTドコモは2017年6月23日、AIエージェントを実現する基盤の中核となる「AIエージェントAPI」を開発したと発表した。
同社は中期戦略2020「beyond宣言」の中で、顧客のライフスタイルを革新する新たなAIエージェントの提供を掲げている。AIエージェントAPIは、その構築のための基本システムであり、NTTグループのAI「corevo」に含まれる先読みエンジンと多目的対話エンジン、そしてIoTアクセス制御エンジンで構成される。
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「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」の概要 |
1つめの先読みエンジンは、行動分析技術により、対話を通じて顧客を理解し、一人ひとりに合わせた情報を適切なタイミングで提供することができる仕組み。2つめの多目的対話エンジンは、しゃべってコンシェルで培った自然言語処理技術の活用により、自然な対話を通じたサービスの提供を可能にする。3つめのIoTアクセス制御エンジンは、OMA(Open Mobile Alliance)で標準化されたデバイスWebAPIの利用により、異なる通信規格のIoT機器のインターフェースを共通化し、簡単に制御することができる。
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「AIエージェント」利用イメージ |
具体的なサービスとして、①AIエージェントとの自然な対話による家電の制御、②AIエージェントが次の行動を先読みし、宅配サービスの配達時間を変更する、③複数のAIエージェントキャラクターがそれぞれの得意分野を案内する、といったことが考えられるという。
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デバイスWebAPIを使い、音声による家電機器の制御を実現する |
AIエージェントAPIの特徴が、場面ごとに適切なAIエージェントが対応することだ。顧客に常に寄り沿う「メインエージェント」が対応できない機能やサービスについては、それぞれの専門知識を持った「エキスパートエージェント」が連携し、対応する。ちなみに、エキスパートエージェントは、サービス提供事業者がキャラクターや対話の内容、声をデザインすることができる。
ドコモはAIエージェントAPIを外部に開放する「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」を推進する。代表取締役副社長の中山俊樹氏は「サービスにもデバイスにもオープンにすることで、パートナー企業と一緒になってAIエージェントを広げていきたい」と抱負を語った。
すでにインテル、高島屋、カカクコム(食べログ)がパートナーとして賛同を示している。インテルはデバイスの技術パートナーとして、AIエージェントAPIを活用したスマートスピーカーのリファレンスデザインを提供する。dポイントやdカードでドコモと連携している高島屋は、新しいおもてなしサービスへの貢献に期待を寄せる。また食べログは、80万店舗、2000万件の口コミからAIによって最適な店舗の情報を提供することを検討している。
(左から)高島屋常務取締役営業推進部長の髙山俊三氏、NTTドコモ代表取締役副社長の中山俊樹氏、インテル代表取締役社長の江田麻季子氏、カカクコム取締役(食べログ担当)の村上敦浩氏 |
ドコモでは7月にパートナー向けイベントを開催、今秋にはトライアルサービスを提供する。18年にはAIエージェントAPIを利用した新たなサービスの開始を予定している。