「私たちの開発方針はお客様が決めるが、今の最大のテーマはクラウド対応。現時点ではハードウェア製品を希望されるお客様であっても、将来におけるソフトウェア化への道筋が示されていなければハードウェアに投資してくれない」――。こう述べるのは、米ソナス・ネットワークスのシニアバイスプレジデントでワールドワイドセールス責任者のマイケル・スウェイド氏だ。
(左から)日本ソナス・ネットワークスのカントリーマネージャー日野達基氏、米ソナス・ネットワークスでシニアバイスプレジデントを務めるマイケル・スウェイド氏、同ケビン・ライリ氏、日本ソナスでテクニカルリード・システムエンジニアを務める桑原良和氏 |
クラウド化は徐々に進行ソナスはSBC(Session Boarder Controller)を主力製品としており、固定・モバイルの通信事業者間を接続するNNI(Network-to-Network Interface)ソリューションなどを提供している。SBCは、SIPを利用するVoIPネットワークのゲートウェイとして、別のネットワークとの境界に設置されることから、音声・UC(Unified Communication)サービスにおいてセキュリティの防波堤の役割も果たす。
同社は2012年にN.E.T.(Network Equipment Technologies)を、翌年にPerformance Technologyを買収。従来の通信事業者向けのSBCに加え、エンタープライズ向けの小型SBCやDSC(Diameter Signaling Controller)などの領域まで製品ポートフォリオを拡大した。
さらに、研究開発に大きなコストを投じ、技術的アドバンテージを培っている。「私たちは年間総売上の約25%を研究開発費に費やすことをコミットしている」とシニアバイスプレジデントでエンジニアリングCTOのケビン・ライリ氏は語る。
近年、様々な“破壊的テクノロジー”が登場しているが、グローバルで同社がフォーカスしている技術の1つが「クラウド」だ(図表)。
図表 ソナスがフォーカスしている破壊的テクノロジーとそのインパクト |
「この3年間はクラウド化を目指し、完全なソフトウェア・ソリューションを実現すべく取り組んできた。クラウド化の準備はできている」。ライリ氏はこう説明したうえで、「ただし、企業のクラウド移行は、簡単に1ステップで実現できるものではない。ハードウェアからハードウェアとソフトウェアのハイブリッド、そして完全なソフトウェアへと時間をかけて徐々に少しずつ移行する。10年くらいかけてソフトウェア化を実現する企業もあるだろう」と続けた。
実際、世界的に産業界をリードする企業でもソフトウェアへ移行する準備ができていないケースはあり、現状はまだ大部分の企業がハードウェア・ソリューションに投資している段階だという。そのため、同社は継続的にハードウェアにも力を入れており、従来型の「ハードウェア・ソリューション」から「ハイブリッド・ソリューション」、「完全なソフトウェア・ソリューション」まで、柔軟に顧客のニーズに対応しうるソリューションを取り揃えているという。
さらに顧客がクラウド移行をスムーズに進められるよう、「私たちは、運用面においてもクラウド移行を考慮して研究開発を進めている。1つのトレーニングを受ければ、ハードウェア、ソフトウェア、ハイブリッドのいずれの環境であっても運用できるようにしている」と、スウェイド氏はアピールする。