工作機械メーカーのヤマザキマザックとシスコシステムズは2016年11月16日、製造業のIoT化推進とクラウドサービスの開発に向けた協業に合意したと発表した。

シスコシステムズの鈴木みゆき代表執行役社長（左）とヤマザキマザックの山崎智久代表取締役社長

マザックは、工場間のIoT化を図る上で重要な機械間のデータ取得の共通化やサイバーセキュリティの問題を解決する目的から、製造業向けオープン通信規格「MTConnect」を採用したネットワーク接続装置「MAZAK SMARTBOX（以下、スマートボックス）」を15年に米国で開発した。

ネットワーク接続装置「MAZAK SMARTBOX」には、シスコのコネクテッドマシンソリューションが採用されている

このスマートボックスにはシスコのコネクテッドマシンソリューションが採用され、ネットワーク接続やセキュリティ、コンピューティングを集約して提供している。

マザックは日本と米国の自社工場にスマートボックスを先行導入し、シスコとともに検証や機能開発を行ってきた。その結果、製造業のIoT化の推進にはスマートボックスのさらなる機能強化、ビッグデータ解析やクラウドサービスの開発まで協業の範囲を広げるべき、ということで両社の意見が一致したという。

これまでの協業の成果の1つとして、スマートボックスに新機能「Secure File Transfer（SFT）」を搭載する。これにより双方向通信を可能にし、工作機械へのプログラムの安全な転送を実現するという。マザックの山崎智久代表取締役社長は「今後さらに機能やソリューションを追加していきたい」と語った。

また、シスコからIoT関連の技術やソリューションの提供を受け、ビッグデータを活用した生産性の向上やマシンダウンの極小化を目指したクラウドサービスを開発する。

今回の協業について、シスコの鈴木みゆき代表執行役社長は「日本の製造業のIoT化をより具体的にお手伝いすることができるようになると確信している」とした上で「IoTは1社では実現できない。物理的ツールやセンサー、ネットワーク、データ分析ツールなどベスト・オブ・ブリードの製品やサービスを持ち寄ることで初めて、ソリューションが完成する。だからこそ、業種や業界をまたいだエコパートナーが重要になる」と意義を強調した。

なお、スマートボックスは11月17日より、マザックが国内で販売を開始する。価格は、可視化ソフトとのパッケージで70万円（税別）となっている。