「ビジネスにおける人と人の結びつきをチャットが強化する」。こう語るのは、ガートナー ジャパン リサーチ部門 ソーシャル・ソフトウェア&コラボレーション バイスプレジデントの志賀嘉津士氏だ。
業務でチャットを利用すると、従業員同士や顧客とのエンゲージメント(結びつき)が深まる。それにより、企業と従業員の間では、組織への信頼感や同僚に協力する意識が自ずと醸成される。他方、顧客はその企業のファンになり、顧客が企業を支援する動きが育まれる――。
2016年4月に開催された「ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンター サミット2016」における志賀氏のセッション「メッセージング・アプリはビジネス・コミュニケーションにどのようなインパクトを与えるか」では、実例を交えながら、チャットがビジネスに与えるインパクトが紹介された。
チャットが情報の流れをスムーズにするメッセージング・アプリ、インスタント・メッセンジャーなどとも言われるチャットは、20年来の長い歴史がある。スマートフォンの普及と共にユーザーが増え、今や家族、友人同士のコミュニケーションのほとんどがチャットで行われている。
「手紙や親書のように丁寧で敬語を使い、よそ行きなメールに対して、チャットは会話調でスタンプなどによる感情表現があり、カジュアルで手軽だ」(志賀氏)
チャットによるコミュニケーションでは、家族や友人のように親しみのある関係を築ける(出典:ガートナー 2016年4月) |
志賀氏によれば、こうした特徴があるチャットを利用したコミュニケーションでは、「従業員同士や顧客とのエンゲージメントを強化し、ビジネスライクな関係から一歩進み、人と人の距離を近づけ、情報の流通をスムーズにすることができる」という。