NECは2016年5月23日、警察や消防などのパブリックセーフティ領域で利用する公共LTE専用網(Public Safety LTE、PS-LTE)において、基地局から電波が届かないエリア(圏外)でも高画質な映像を送信できる端末間通信技術を開発したと発表した。
LTEでは、圏外の端末から中継局となる他の端末までの区間と、中継局となる他の端末から基地局までの区間などにおいて、利用可能な無線リソースや変調・符号化方式が異なる。そのため、無線品質を基準とした中継端末の選択では、最適な通信経路の選択が困難だった。
しかし、新しく開発した「中継リンクスループット方式」では、最適な通信経路の選択が正確になるという。中継リンクスループット方式とは、区間ごとに異なる無線リソースや変調・符号化方式を考慮し、各区間の無線品質に加え、それぞれの通信スループットを推定した後に統合する通信方式のこと。現場の端末、中継局となる他の端末、基地局までの通信速度をトータルで推定でき、最適な通信ルートを選択する上で基本情報となる全体の通信速度が従来より正確に把握可能になる。
[圏外端末から基地局までの通信ルートの選択について] 中継端末で上り通信の速度を、圏外の端末で端末間通信の速度を推定。その結果から中継リンクスループット(端末から基地局までのトータルの通信速度)を算出し、最も高速になる中継端末#2を選択する |