坂村教授との共同研究プロジェクトを立ち上げた理由について、LIXIL代表取締役社長兼CEOの藤森義明氏は、「これからIoTで世界がすべて変わってくる。当社のビジネスモデルも変わり、今後の競争相手はメーカーではなくIoTベンダーになっていくのではないか。今、新しい形を考え出さないと10年後、20年後の当社の未来はなくなってしまうのではないかという危機感からIoT House プロジェクトを立ち上げた」と説明した。
共同研究プロジェクトは3つのフェーズに分けて進める |
共同研究プロジェクトは3つのフェーズに分けて実験・検証が進められる予定だ。
フェーズ1(2015-2016年)の「構想・予備実験」では、IoT Houseの理想モデルの検討と予備実験を行う。フェーズ2(2016-2017年)では理想モデルに基づいたコンセプトハウスを建設し、LIXILが考えるIoT Houseを広く発信していく。最後のフェーズ3(2017~)では、様々な生活シーンから集約したデータ、情報を活用したIoT Houseのサービスを具体化していく。
このプロジェクトでは、IoT Houseの建築、設備、人員など必要なものを調達するための金額として、数億~10億円くらいを見込んでいるという。
実験環境の構築と実証実験の概要 |
実験環境は、「予備実験を行うためにLIXIL社員からモニターを募り、IoT Houseを最適化させるセンサーや先進技術の見極めに協力してもらう」とLIXIL取締役専務執行役員R&D本部長の二瓶亮氏は説明する。
他にもIoT化した建材を組み込んだ「研究・実験棟」を準備し、センシング技術や住環境を最適にコントロールするための制御技術の開発・検証を行う。また、LIXIL製品にこだわらず、リフォームを考慮したIoT Houseの検証も実施することを予定している。
これらの開発・検証とともに、LIXILのIoT Houseのコンセプトを広く発信していくためのシンボルとして、坂村教授監修のコンセプトハウスを建設する。
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IoT House実現のカギはIoT部品の大量生産にある |
坂村教授によれば、「技術の進歩により住宅の部品が全て無線でつながり協調動作をして、生活をサポートすることが現実的になってきている」。そしてその実現のカギは部品にあり、LIXILのように住宅設備や建材といった住宅の部品を大量生産している会社が部品をIoT化することが必要だという。
IoT Houseでは部品が協調動作して生活をサポート |
IoT Houseのコンセプトが実現されれば、インターネットにつながったものをコントロールするだけではなく、住宅や住人の状況を把握できるようになる。例えば、高齢者の住宅内事故は交通事故と同じくらいの件数に上るというが、そのような住宅内事故を事前に防止できるようになる。トイレもただの排泄処理装置ではなく、センサーなどを組み込むことで住人の健康状態を把握する健康見守りトイレに変わる。
IoT Houseのあるべき姿について藤森氏は「IoTとして家が全部つながることで効果を出せる。そのコンセプトを広く発信して、それに賛同していただけるところとつなげる」と表明し、坂村教授も「私と組むということはLIXILもオープンアーキテクチャー。部品の接続もオープンで、賛同してもらえるところとは喜んでつなげたい」とオープン性を強調した。標準化などにも積極的に取り組むという。
LIXILグループは、2020年に向けて「世界で最も企業価値が高く、革新的で信頼されるリビングテクノロジー企業となる」という目標を掲げている。「IoT Houseが完成したらそれで終わりではない。家は家として造り、そこから当社の将来の新しいビジネスモデルを考えていきたい」と藤森氏は展望を語った。