こんにちは。西俊明です。
「アベノミクス」という言葉が聞かれるようになってしばらく経ちますが、あなたや周りの方の店舗の業績はいかがでしょうか。
「ようやく消費税増税の影響から抜け出した」と感じている方もいるでしょうし、「まだまだ本格的には回復できていない」と考えている方もいるでしょう。
店舗経営者の肌感覚としては、「本当に景気って回復しているの?」と半信半疑の方が多いような気がします。景気回復の実感を持つほどには「売り上げの回復に力強さを感じている」経営者が少ない・・・と、私は現場を回っている中で感じています。
ここで、リアルの小売・流通業と何かと比較されるEC市場の動向について確認してみましょう。日本通信販売協会(JADMA)の調査では、通販売上高は15年連続しての増加傾向となり、さらにここ10年の平均成長率は7.7%とのことです。
図表1 通信販売売上高の推移 |
出典元:公益社団法人 日本通信販売協会(JADMA) 「2013年度(平成25年度)通信販売売上高について」より |
上記グラフは通販市場全体の数値ですから、すべてがネット通販などのECであるとは言えません。しかしJADMAでは通販市場の成長の要因として以下のような理由を挙げていますから、ネット通販が主役であることには間違いないでしょう。
1.楽天、アマゾン、スタートトゥディ等モール、大手EC企業が牽引役となっていること
2.店舗系のネット通販の伸び、新商品、サービスのネット通販企業の参入による裾野の拡大
3.シニア市場拡大に伴うメーカー通販(健康食品、化粧品)、宅配事業の堅調な伸び
いかがでしょうか。「通販の平均成長率は7.7%」という事実を聞いて、「やはり実店舗の売上はECなどに浸食されているんだなぁ」と肩を落とされましたか?
上記の成長要因の1つめの項目では、楽天・アマゾンなどの大手EC企業が牽引役になっているとされています。彼らはネット専業ですので、そのぶん他のリアルな店舗の売上に影響していることは間違いありません。
「ショールーミング」という言葉を聞いたことがあると思います。これは消費者が、自分の欲しい商品などをリアルな店舗で見て回り、最終的な購買はネットで行うという一連の行動を表した言葉です。このような言葉が使われるほど、ショールーミングのような行動は一般化していると考えることができるでしょう。
「自分の店舗が、他人のネットショップの売上に貢献しているだけで、自店舗の売上には結びついていない」
リアル店舗の運営には多大な維持運営費がかかりますから、ショールーミングは、店舗経営者にとって見過ごせない問題ですよね。
では今後もリアルな店舗はEC事業者に押される一方なのでしょうか。
そんなことはありません。上記の通販市場の成長要因の2つめの項目には、「店舗系のネット通販の伸び」もあるとされています。また、少し古いデータですが、経済産業省の「消費者向けの電子商取引実態調査」(2009)では、ネット専業者より、ネットとリアルの両方に展開する事業者のほうが2.5倍以上多いとの調査結果が出ています。リアルとネットを平行して展開することにより売上を伸ばしている事業者が一定数以上存在するのです。
リアルの店舗を保持していることは、ネット専業者には真似しにくい(参入障壁が高い)大きな強みでもあります。もし、あなたの店舗がリアルな施策一辺倒であるならば、平行してネットでの取り組みも進めて両者のシナジーを最大化させることが、成長への一番の近道です。