SDN/NFV時代に「キャリアイーサネット」はどう進化していくのか?

キャリアイーサネットの業界団体「Metro Ethernet Forum(MEF)」が新ビジョン「第3のネットワーク」を打ち出した。キャリアイーサネットは今後、どのような方向に進化していくのか。MEF COOのケビン・バション氏と、MEFの主要メンバー企業の1社であるKVHでVice President 執行役員を務めるギント・アトキンソン氏に聞いた。

――Metro Ethernet Forum(MEF)の役割について教えてください。

バション MEFは2001年に設立された非営利団体で、現在220社が加盟しています。そのうち3分の2が通信事業者/サービスプロバイダーであり、アジア・パシフィック(APAC)の企業も23%を占めています。

我々の役割は、以前はキャリアイーサネットサービスを提供するための機器の仕様を策定することでした。しかし、現在は、通信事業者/サービスプロバイダーがより柔軟で経済的なネットワークに移行するための方向性を示し、それを推進することに重点が移っています。

昨年発表した「The 3rd Network(第3のネットワーク)」が、そのビジョンです。

Metro Ethernet Forum(MEF)
(左から)Metro Ethernet Forum(MEF)COOのケビン・バション氏と、KVH Vice President 執行役員のギント・アトキンソン氏

既存インフラにSDN/NFV導入――どのようなビジョンなのですか。

バション MEFは2012年から「キャリアイーサネット2.0(CE2.0)」と呼ぶ認証プログラムを実施しています。これは通信事業者/サービスプロバイダー、機器ベンダーが標準仕様に基づいた機器やサービスの開発、実装・導入を行えるようにするもので、最新のテクノロジーを業界標準として取り入れたキャリアイーサネットサービスを提供するためのものです。

「第3のネットワーク」は、このCE2.0のさらに先を示したものです。

CE2.0によって実現される、高パフォーマンスかつ信頼性の高いネットワークを土台に、SDNやNFVの要素を加え、より俊敏性に優れた動的なネットワークに移行していくためのビジョンです。

――通信事業者/サービスプロバイダーは現在、SDNやNFVの導入に取り組んでいますが、これを手助けするものと言えますか。

バション その通りです。MEFは「第3のネットワーク」と同時に、これを実現するコンセプトモデルとして「ライフサイクル・サービス・オーケストレーション(LSO)」を発表しました。

LSOは、ネットワークインフラと、そこで提供されるサービスを抽象化することによって、通信事業者/サービスプロバイダーが単一のネットワークインフラ上で、ユーザーの目的や用途に応じた仮想ネットワークを生成し、管理・制御し、サービスを柔軟に提供できるようにするものです。いわゆるNaaS(Network as a Service)が可能になるのです。

MEFは、このLSOの機能要件と、それをサポートするAPIを定義します。このAPIによって、複数事業者のネットワークやデータセンターインフラをエンドツーエンドでオーケストレーションすることもできるようになります。

月刊テレコミュニケーション2015年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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