2020年にネットワークに接続される端末は500億台に、トラフィックの総量は44ゼタバイトにもなる。これを支えるネットワークをどのようにして作るのか――。通信業界は、モノのインターネット(IoT)時代に向けた大きな課題に直面している。
この課題を解決するには、新たなテクノロジを導入することに加えて、「コストをどう払うのか、お金をどう回すのかが重要だ」と、インテル・常務執行役員の平野浩介氏はワイヤレスジャパン2015の基調講演「NFVで変わるネットワークの未来」で指摘した。「経済的な“エコループ”が回らなければ、IoTは推進されない」からだ。ネットワークに接続する端末の数とトラフィック量が10倍になったからといって、インフラもそのまま10倍にするわけにはいかない。ネットワーク機器を設置する場所もコストも、そして消費電力も10倍になったのでは“IoTビジネス”は到底成り立たない。
2020年にはデバイス数は500億、トラフィック量は44ゼタバイトに達すると予測されている |
では、どうするのか。技術とビジネスの両面で進化する必要があると強調する平野氏は、「同じコストで性能を高めることにチャレンジしなければならない」と話す。ストレージやコンピューティングパワー、そしてネットワークの利用効率を飛躍的に高める必要がある。「その1つの解がNFVだ」――。これこそ、インテルがNFVに注力する理由である。
そこで同社が推進しているのが、「ソフトウェア・デファインド・インフラストラクチャ(SDI)」である。仮想化技術によって、サーバー、ストレージ、ネットワーク等の資源を抽象化し、そのリソースを、アプリケーションに応じて自動的に再配分できるようにするもので、「もう1~2年で実用化の段階になる」という。
インテルが推進するSDIのイメージ |