ドコモ主導の5G技術「NOMA」を徹底解説――LTEの周波数利用効率が6割増に

NTTドコモが、LTEを高度化して周波数利用効率を6割向上させる5G向けの新技術「NOMA」の開発に力を入れている。商用化のターゲットは日本で5Gが導入される2020年だ。

2020年代初頭に実用化が見込まれる5G(第5世代移動通信システム)は、複数の新たな無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を組み合わせて実現されると考えられており、通信インフラベンダーなどから、その候補となるさまざまな新技術が提案されている。

NTTドコモが中心となって開発が進められているNOMA(非直交多元接続:Non-Orthogonal Multiple Access、ノーマ)は、その中でも世界の移動通信事業者の関心が強い技術の1つだ。

5G向けの新RATは、(1)10G~100GHzといった非常に高い周波数帯(準ミリ波帯、ミリ波帯)での利用を想定したものと、(2)現行の携帯電話で使われている数百MHz-2GHz、あるいは6GHz程度までの比較的低い周波数帯に導入することを想定したものの2つに大別できる。

(1)の準ミリ波/ミリ波帯は移動通信では使われておらず、5G用として数十GHz幅に及ぶ新たな周波数の割当が行われる可能性があることから、その利用技術の開発に多くの企業が力を注いでいる。この技術により10Gbpsクラスの超高速データ通信の実現やネットワーク容量の飛躍的な拡大が期待できるのである。

他方、(2)の比較的低い周波数帯、特に数百MHz~2GHzの既存の携帯電話帯域は、遠距離伝搬特性に優れ広域エリアの構築が容易であることから5Gのネットワークの構築でも重要な役割を担う。とはいえ、これらの帯域では新たに移動通信に割当を行う余地は小さく、既存帯域を有効に利用するための技術開発が求められている。

NOMAは、こうしたニーズを満たす技術としてドコモが2012年から開発を進めてきたものだ。昨年秋には試作装置を用いた室内実験に成功、実用化に向けた研究開発を精力的に進めている。

ドコモでNOMAの開発に携わる5G推進室5G方式研究グループ主任研究員の岸山祥久氏は「デモ環境で現行のLTEにNOMAを適用した場合、周波数利用効率が最大60%程度向上する。現実的な環境でも平均30%程度の容量拡大が見込める」という。この成果に世界の通信事業者の熱い視線が注がれているのである。

月刊テレコミュニケーション2015年5月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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