ソフトバンクは2014年11月4日、2014年度第2四半期の決算を発表した。上期(4~9月)の連結売上高は前年同期比58%増の4兆1044億円、EBITDAは同34%増の1兆1226億円、営業利益は同19%減の5967億円、純利益は同37%増の5607億円になった。
売上高は2期連続で過去最高となった |
ソフトバンクの孫正義社長は、営業利益が減益となった理由は、2013年上期はガンホー、ウィルコムの子会社化に伴う一時益などとして2490億円を含んでいたことにあるとし、これを除くと2013年上期の営業利益は4882億円であり、前年同期比22%増になると説明した。
通期の連結営業利益を従来予想の1兆円から9000億円に下方修正し、前期比17%減となる見込みだ。これは、スプリントの業績予想を下方修正したことによる。
国内通信事業は、ボーダフォン買収当時と比べると2014年上期には営業利益が9倍になり、スマホの接続率などで軒並みNo.1を獲得しており、好調であるとアピールした。また、これまで国内で積極的に行ってきた設備投資はピークをこえ、今後は大幅に削減するとし、事業そのものが収穫期に入ったとの認識を示した。
質疑応答に応える孫正義社長 |
質疑応答で、孫社長はSIMロック解除の義務付けについて問われると、「我々は、最終的に決まった方針にしたがうということです」コメントしたうえで、「アップルストアで無制限に売られているSIMフリー端末はほとんど売れていない」と指摘。「SIMロックの解除が義務付けられても、販売を取り巻く競争環境が変わるということはないだろう」と述べた。
また、NTTドコモが発表した「ドコモ光」について、「光ファイバーの卸売りがなされることについては、前向きに対応していきたい」とした。さらにソフトバンクモバイルが光回線サービスとスマートフォンのセット販売を開始することについては、「結果的にNTTさんに利することになる。やや悲しい気はするが、お客さんにサービスを提供するのに必要とあらば、現実をみながら対応する」とサービスを推進する意向を示した。
孫社長は、決算の概要を説明した後、投資戦略について大きな時間を割いた。この間の成功した投資例としてアリババを挙げ、中国のイーコマース市場はこれからもさらに拡大すると予想し、市場のおよそ8割を占めるアリババも成長を続けるだろうと述べた。
まだ投資ステージにあるという米国のスプリントについては苦戦を認めつつも、顧客純減から反転の兆しが見えており、支払状況のよい優良顧客が増加しているとした。優良顧客を集めるにはコストがかかるが、中長期的にはそのほうがよいという見方を示した。
また中長期的な視点から、これから注目するのはインドであり、今後1兆円規模の投資をする構えがあると語った。すでにインド最大のオンラインマーケットプレイスを運営するスナップディールやインド最大の配車サービスプラットフォームを提供しているオラに出資し、筆頭株主になっている。さらにイーコマースが急激に伸びているインドネシアのトコペディアにも出資し、筆頭株主になっていると述べた。
孫社長は、金の卵を産むガチョウの話を例に出し、「(売っておしまいの金の卵と金の卵を産み続けるガチョウの)どちらに価値があるのか?」と問いかけ、「私は金の卵以上に、金の卵を産むガチョウに、より大きな価値があると思う」、「ソフトバンクは金の卵を産むガチョウになりたい」、そして「ソフトバンクが持っている資産ひとつひとつが金の卵であると思い描いてもらいたい」と、インドやインドネシアで新しい金の卵を仕込んでいる最中であることなど、今後への海外への投資戦略について語った。
孫社長は金の卵を産むガチョウの話を披露した |