通信事業者向けのネットワーク運用/ビジネス支援システム(OSS/BSS)ベンダーである日本アムドックスは2014年1月22日、通信分野でのビッグデータ活用とイノベーションをテーマとするプライベートセミナー「Amdocs スタディセッション」を東京都内で開催した。
ビッグデータを活用し、顧客ロイヤルティを向上
セミナーでは、リージョナルヴァイスプレジデントで日本代表を務めるガイ・モードック氏がアムドックスの概要を説明した後、アムドックス本社カスタマーマネジメントマーケティングディレクターのローニット・ドラン氏が通信事業者のビッグデータ活用をテーマにプレゼンテーションを行った。
アムドックス カスタマーマネジメントマーケティングディレクター ローニット・ドラン(Ronit Doran)氏 |
顧客データベースやSNSなどの様々なソースから得られる膨大な構造化・非構造化データを解析し、ビジネスに活用しようとするビッグデータへの関心は通信事業者の間でも強くなっている。
しかしドラン氏は、「現状ではまだ十分に活用されているとはいえない」という。例えば、ビッグデータを顧客管理やサービス領域に適用することで顧客の解約防止につなげている、あるいはネットワークの運用やコールセンターの運用の最適化を実現したいと考えてデータウェアハウスの構築を進めている通信事業者は多いが、「データウェアハウスでは、データ・モデルの構築に時間がかかり、リアルタイム性が確保できないことがネックの1つになっている」と指摘した。
また、「ビッグデータで顧客をセグメント化する際に、顧客個々のパーソナルな特徴が見落とされてしまい、十分な成果があげられないこと多い点」も課題として挙げた。こうした要因から、米国の調査によると「ビッグデータの解析ルールを使ったプロモーションの成功率は3~5%程度にとどまっている」という。
そこで解決策の1つとしてアムドックスが訴求している製品の1つが、「Proactive Care」である。これは、ビッグデータ解析技術をベースに、顧客に関連するすべてのデータソースをリアルタイム処理することで、個々の顧客毎にパーソナライズされた方法で問題に対処できるようにするソリューション。例えば、顧客からコールセンターに問い合わせがあった際、顧客の体感品質をリアルタイムに把握し、改善策や良好な通信環境を活かせるサービスの提案を行うことなどができるという。これにより収益の増大が可能になるのだ。
ドラン氏は、顧客ロイヤルティ(忠誠度)の重要指標であるNPS(Net Promoter Score:友人などへの推奨度)で米国の通信事業者がすべてマイナス評価だったという調査の結果を紹介したうえで、Proactive Careの活用によりNPSの大幅な改善も期待できるとした。