SPECIAL TOPIC5Gは速いだけでは社会インフラになれない フィジカルAIを支える止めない通信

フィジカルAIや自律型ロボットの普及に伴い、産業ネットワークには高速性だけでなく、障害時にも通信を継続する設計が求められている。IDYは5G Multi-RAT、複数SIM、5G通信系統の二重化、運用監視を組み合わせ、放送、鉄道・モビリティ、物流、BCP、防災、産業・ロボットを支える止めない通信基盤へ事業領域を広げる。

AIがカメラやセンサーなどから得られた情報を読み取り、ロボットや車両が自律的に動くフィジカルAIの実装が進んでいる。製造、物流、建設、モビリティなどにおいて、現実空間とデジタル空間が結び付くほど重要性を増していくのが、その間をつなぐ通信の役割である。低遅延や高速性に加えて、必要なときに通信が途切れないことが、システム全体の成立条件になるからだ。

産業用途では、数秒の通信断でも映像伝送や遠隔監視が中断し、機器の停止や判断の遅れにつながる。5Gの最高速度を見比べるだけでは、こうした現場の要求には応えられない。IDY 代表取締役社長の本田和明氏は、「産業5Gでは、つながった瞬間の速さだけでなく、障害発生時に事業を止めない設計まで評価する必要があります」と話す。

IDY 代表取締役社長 博士(システム情報科学) 本田和明氏

IDY 代表取締役社長 博士(システム情報科学) 本田和明氏

高速化の先に見えた運用時の課題

IDYは2020年に5Gエッジゲートウェイ「iR730B」の提供を開始し、5G NSA/Sub6への対応から、5G SA、ミリ波、上り2×2 MIMO、準同期へと機能を拡張してきた。2025年4月に10GbE対応の産業用5Gエッジゲートウェイ「iR800B」を投入。iR800Bでは、エンドツーエンドのラウンドトリップタイム(E2E RTT)で9.5msの低遅延を確認した。通信速度も、iR800Bで下り2.4Gbps、5G USBモデム「iS201B」で下り3.0Gbpsを実測している(実測値は同社評価環境での測定結果。通信性能はネットワーク構成、電波環境、設定等により異なる)。iR800Bは10GbE LANとSFP+、クアッドコアCPU、大容量メモリを備え、5Gの高速性能を産業ネットワークへ取り出す設計だ。映像伝送や監視、フィジカルAIに求められる低遅延と高速通信を、実測値で示した。

一方、高速化を進めるなかで、運用時の課題も明確になった。基地局の工事や障害、通信エリア外への移動など通信が止まる理由は1つではない。「単一のキャリアや回線、端末に依存した構成では、1カ所の障害がシステム全体の停止につながる恐れがあります」(本田氏)。そこでIDYは、端末単体の性能向上だけでなく、通信経路と運用も含めた冗長化へと開発領域を広げている。

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