KDDI、分散型AIで混雑状況に応じた基地局の自律制御 上り通信速度が60%向上

KDDIとKDDI総合研究所は2026年10月14日、複数のAIが基地局の設定を自律的に最適化する技術(分散型AI)を活用し、時間帯ごとの通信状況に合わせて通信エリアを最適化する実証を、6月から8月にかけて全国の一部商用ネットワークで実施したと発表した。

分散型AIによる通信エリアの最適化

分散型AIでは、複数のAIが協力して学習を行う分散強化学習に基づき、基地局の最適な設定値を計算する。各基地局に対して設定値の推論・反映を行う「推論器」と、各推論器の経験から共通する知識を学習・共有する「学習器」が連携して最適化を行う。

実証では、時間帯ごとの通信状況を分散型AIに効率よく学習させるため、入力データの次元数を高効率に圧縮する技術を新たに導入した。全国の基地局データから事前に作成した圧縮モデルを用い、時間単位の膨大なデータから最適化に必要な特徴を保ちつつ、冗長な情報を削減して低次元のデータに変換。これにより、推論器への入力データの次元数を約10分の1に削減し、学習時間を約5分の1に短縮したという。

また、上り通信速度の向上と低速度エリアの削減を実現するため、分散型AIが時間帯ごとに自律的に制御信号リソース量を判断。混雑する時間帯には各スマートフォンに必要な分だけ制御信号リソースを割り当てることでデータ送受信の機会を増やし、閑散時間帯には余裕を持って割り当てることで接続の安定性を高めた。

従来のパラメーター設定と時間帯ごとのパラメーター設定の比較

結果、制御信号リソースの不足が解消され、スマートフォンにデータ信号のリソースが割り当てられるようになったことにより、混雑時間帯の上り通信速度が平均約60%向上。また、上り通信速度が1.5Mbps以下となっていたエリアの数を約30%削減し、データのアップロードが安定したとしている。

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