大規模なサービスを支えるネットワークの運用現場では、日々発生するアラートや障害対応をいかに効率化するかが重要な課題となっている。
LINEヤフーは、旧ヤフー側のネットワーク運用にAIによる自動化(AIOps)を本格的に取り入れている。アラートの一次対応、復旧に関する判断、Closネットワークの障害切り分け、運用データ整備まで対象は幅広い。特徴は、ネットワーク構成や運用プロセスを熟知したエンジニアが、実務に即してAIをワークフローに組み込んでいる点だ。
中核となるのがAIエージェントである。LINEヤフーでは、ネットワーク機器へのコマンド実行、監視情報やログの参照、チケット確認などをAIエージェントが担う。AIが機器やシステムへ直接アクセスするのではなく、外部ツールとの接点となるMCP(Model Context Protocol)サーバーを介して操作する設計だ。
こうした取り組みを主導し、JANOG(JApan Network Operators’Group)ミーティング等でも成果を発表してきた同社CTOドメイン インフラCBU ネットワークユニット Cloud Service Network ディビジョンの岡田嘉氏は、自身が担当する運用の範囲において、AIを適用しづらい領域は「基本的にない」と話す。外部とのコミュニケーションや重大事故につながる作業には人間の承認を挟み、発生頻度が極めて低い作業は適用を見送ることもあるが、日常的な運用作業の幅広い範囲でAI活用が進んでいる。

LINEヤフー CTOドメイン インフラCBU ネットワークユニット Cloud Service Network ディビジョン 岡田嘉氏
一次対応はすでに自動化
代表例がアラートへの一次対応だ。対応が必要なアラートかどうかをAIエージェントが判定する。従来は人が毎日1~2時間かけて精査していたが、2026年1月中旬にAI自動化を本格化した。当初は一次判断の精度が80~90%程度にとどまったが、システムを作り直したことで、現在はほぼAIに任せられる水準まで改善したという。
ただし、現場の不安が消えたわけではない。チームとしてはAIの処理結果を信頼する方針だが、岡田氏自身は現在も3分の2程度を事後確認している。作業時間は大きく減った一方で、「AIの判断をどこまで信じるか」という課題も生じている。
復旧に付随する作業でも活用は進む。例えば筐体故障が疑われる場合、従来はエンジニアが実機を確認して被疑箇所を特定し、交換作業を依頼したうえで、交換後の状態確認まで行っていた。現在は、こうした確認や依頼、復旧後チェックの多くを自動化ツールで処理している。定型的な処理はスクリプトで実行し、判断が必要な部分や例外的な確認をAIが補う形だ。










