<連載>ミリ波のチカラ -超高速通信がもたらす新しい体験-[第10回]KDDIが開発した新型「ミリ波中継機」、その実力を新宿で検証

とどまるところを知らない帯域需要の増大に、5Gネットワークは果たして応え続けることができるのか。ミリ波が、その切り札の1つになることは間違いない。そのポテンシャルを最大限に引き出すには、電波が飛びにくいという弱点を補う効率的なエリア展開と、ユースケースの創出が欠かせない。革新的な中継技術の開発や、映像伝送をキーとした用途開拓に注力するKDDIの取り組みをレポートする。

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5Gは導入初期段階での展開を経て、「普及期」へと移行している。通信品質のさらなる向上や、新たな周波数帯の活用、そして通信の高度化といったフェーズである。特に、都市部や繁華街などのトラフィック集中エリアでは、常に高速・大容量の通信が求められており、その需要は今後も増え続ける見込みだ。

現在も、動画配信やクラウドサービス、リアルタイム映像、センサー情報のやり取りなど、あらゆる通信の質と量が拡大している。加えて、生成AIの普及により、データ通信の需要が急増しており、これらを支えるインフラの強化は喫緊の課題だ。

こうした背景から、高速・大容量の通信が可能なミリ波は、次世代通信において非常に重要な役割を果たすことが期待されている。

ミリ波の特徴と課題

ここでいうミリ波は、特に28GHz帯を中心とする、5Gの主要な周波数帯の1つだ。28GHz帯において、国内通信事業者各社は400MHz幅の周波数帯の割り当てを受けており、この広い帯域幅を活用することで、従来の4G LTEと比較して桁違いの高速通信を実現できる。具体的には、数Gbpsの通信速度であり、動画や画像などの大容量データを高速リアルタイムに伝送が可能だ。

一方で、ミリ波の特性には大きな課題も存在する。最も顕著なのは、「通信範囲の狭さ」だ。

ミリ波は障害物に対して非常にセンシティブである。建物や木々、人の身体といった遮蔽物により、電波が遮断されやすく、通信エリアが離散的になることが大きな課題である。これにより、屋内や地下街、地下鉄などの環境では十分な通信品質を確保できないケースも想定される。

また、これらの課題を解決するには、インフラ整備やコスト、運用の効率化といった観点から、革新的な技術やアプローチが必要と考えている。従来の基地局増設だけでは対応しきれないケースも多く、こうした課題への先進的な課題解決が世界的に求められている。

柴山昌也(しばやま・まさや)
KDDI所属。2015年よりKDDI総合研究所にてミリ波の特性分析に従事。2019年にKDDIに帰任し、2022年から現在までグループリーダーとしてミリ波エリアを効率的に拡張する中継技術の開発を主導

小林龍司(こばやし・りゅうじ)
KDDI所属。2019年より5Gに関わる基地局新機能の要件定義や新技術検討を担当。その後先進技術の検討・開発・評価の業務に従事。主に高周波数帯域であるミリ波の技術検討を行い、KDDIのミリ波活用検討を推進中

相楽昌希(さがら・まさき)
KDDI所属。これまで2.3GHz帯周波数共用や28GHz帯ミリ波利活用推進などの業務に従事。周波数利用効率の向上を通じたモバイルネットワーク高度化に取り組み、どこでも高速・高品質な通信環境の実現を目指している

櫻井博貴(さくらい・ひろき)
KDDI所属。西新宿や新宿駅でのミリ波中継器実証をはじめとする、28GHz帯ミリ波の新技術検討・開発などの業務に従事。5Gの高度化と新技術の普及を促進し、より高速で快適な通信環境の実現を目指している

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