ソフトバンクと東京科学大、3次元空間の電波干渉を抑圧する技術の屋外実証に成功

ソフトバンクは2026年3月31日、東京科学大学 電気電子系 藤井輝也研究室(以下、東京科学大)と共同で、3次元空間における隣接セル間の電波干渉を抑圧する「基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラー」の屋外実証実験に成功したと発表した。

5Gでは同一周波数帯を隣接セルで使う場合、セル境界で干渉が発生しやすく、通信品質の低下を招く。加えて、都市部の中高層階での通信需要の増加や、ドローンなど上空を移動する端末の普及が見込まれるなか、上空端末の電波が遠方の地上基地局まで届きやすいことから、地上と上空で同一周波数帯を利用すると広範囲で干渉が生じるおそれがある。このためソフトバンクと東京科学大は、地上の2次元セル構成を上空を含む3次元空間へ拡張し、干渉を抑えながら周波数利用を高度化する研究を進めてきた。

今回、パナソニック ホールディングスの協力の下で基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラーを開発。この装置は、端末から送られるSRS(Sounding Reference Signal、基地局が電波の伝搬特性を推定するための参照信号)を活用して伝搬路応答を推定し、隣接基地局どうしでその情報を共有することで、各基地局が干渉抑圧用のウェイトを生成し、受信信号に重ねて処理する。さらに、複数の基地局を1カ所に集約して連携処理を行う「集中基地局構成」を採用し、複数の光ファイバーや伝送装置の追加を行うことなく、推定処理の効率化を図った。

基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラーの構成

基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラーの構成

実証では、千葉県長生村のグラウンドの両端に5G基地局アンテナを設置し、アンテナ間距離60メートル、セル境界30メートルの条件で評価した。周波数は4.8GHz帯、帯域幅は20MHzで、各端末の最大通信容量は上り・下りともに10Mbpsとした。端末を基地局近傍に置いた場合は10Mbps通信を確認した一方、端末をセル境界に移すと、隣接セル間干渉により通信容量は3Mbps以下まで低下した。これに対し干渉キャンセラーを適用すると、干渉を10dB以上抑圧し、セル境界でも上り・下りともに8~10Mbpsの通信が可能であることを確認した。

実証実験の様子

実証実験の様子

また、地上端末とドローン搭載端末の組み合わせでも効果を検証した。ドローンを高度30メートルまで上昇させた条件では、上空端末からの強い干渉によって地上端末の通信容量が1Mbps以下まで落ちるケースがあったが、干渉キャンセラーを適用することで、上空と地上のセル境界においても上り・下りともに8~10Mbpsの通信を確認した。同一セル内で地上端末と上空端末を同時接続した場合でも、同様に1Mbps以下まで低下した通信容量を8~10Mbpsまで改善できたとしている。

実証実験における測定結果

同システムの一部は、NICTの「Beyond 5G研究開発促進事業」の委託研究課題として採択された「移動通信三次元空間セル構成」の研究によるもの。ソフトバンクは今後、2025年1月に実証実験に成功した「システム間連携与干渉キャンセラー」(参考記事:ソフトバンクと東京科学大、3.9GHz帯5G波の衛星信号への干渉抑圧技術を屋外で実証|BUSINESS NETWORK)と今回開発した基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラーを組み合わせ、3次元空間において同一システム間および異なるシステム間の電波干渉の低減を可能とする移動通信三次元空間セル構成の実現に向けた研究開発を進めていくとしている。

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